はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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やげんナンコツと記憶の区分け

「ナンコツにもいろいろあるんだよ。やげんナンコツとかひざナンコツとか」
ふたり、ビールを飲み、焼き鳥をつまみながら、夫に教えてもらった。
夫の実家、神戸に帰省する新幹線のなかでのことだ。
「やげん、って初めて聞いた。よく知ってたね」
「よく行く焼き鳥屋に、あるからさ」
その場でスマホを操り、夫が調べる。胸下にある船形をした軟骨で、漢方薬をすりつぶす道具、薬研に似た形をしていることから、名がついたという。

「しかし、よく覚えてたね」
わたし達の年代なら、みなそうだと思うが「あそこのあれがさあ」とか「なんたらとなんたらが」などという訳の判らない会話が増えてきている。
それなのに彼は、サッカーチームや選手の名前や、何年にあった何処チーム対何処チームのなんたら戦のあのシュートなどという、わたしにはさっぱり覚えられないことをはっきりと記憶しているのだ。
彼の脳には、サッカーコーナーとその他という区分けができているのだと、これまでわたしは考えていた。
だが、やげんナンコツの話を聞き、それは彼の脳の特異性でも何でもなく、すべての人に共通する、興味があることと、どうでもいいことの区分けだったのだなとあらためて考えたのだった。
ということは、覚えられないことは、意識下でどうでもいいこととして区分しているってことなのだろうか。本当にそうなのだろうか。
新幹線が新神戸に着くまでの間、わたしは待っていた。
「じつは、やげんっていう名前のサッカー選手がいてさ」
夫がそんなふうに種明かしすることを。だが、その瞬間は訪れなかった。
うーむ。それにつけても、やげんナンコツは美味かった。これは単に、美味しいモノの名前は、忘れないってだけかも知れないな。

いちばん上のこの形が、やげんナンコツです。

ナンコツやももには七味をかけて、たれのレバーには山椒をかけて。
我が家でもネットで注文して使っている京七味。美味しいんです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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