はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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こだわりの蕎麦屋

3連休最終日。夫とふたり、同じ北杜市は高根町にある蕎麦屋に行った。
3か月ほど前に食べに行き、蕎麦の美味さに驚いた『やつこま』という店だ。
手打ちの蕎麦は平打ちで、まず蕎麦つゆをつけずに蕎麦の味そのものを味わうことを薦めるとの記述が店内にある。蕎麦を打ち続けてきた自信とこだわりが、そこ此処に見える店なのだ。辛い物好きのわたし的には、普通ならありえないのだが、山葵(わさび)を添えずに蕎麦を出すこともその一つ。本来の蕎麦の味にこだわってこそ、山葵の辛さ、風味に頼ることなく蕎麦を味わう、というところまで辿り着いたのだろう。
しかし、そこは蕎麦屋である。きちんと山葵も用意してある。どうしても欲しい人には、生山葵を1本出し、鮫皮の山葵おろしで自分でおろしてもらうという。余った山葵は持ち帰れるというから、山葵おろしを楽しみ、更に値段的にもお得感がある。考えているなあと思う。

前回、山葵は頼まなかったが、山葵おろしを購入し自分でおろす楽しさを覚えたこともあり、オーダーしてみた。ところが店主が、申し訳なさそうに言う。
「今、いい山葵が入っていなくて、おろしたものでもいいでしょうか?」
そのおろしたものというは掛け値なしにいい山葵で、美味しいことに間違いはないとのことなので、もちろんそれを出してもらうことにした。
その山葵が、本当に美味かったのだ。
「冷凍というと、味が落ちるように思われるかもしれませんが」
店主は、そう前置き、教えてくれた。
生の山葵は、おろしてみるまでその良し悪しは、生産者でさえ判らないのだそうだ。だから何本かおろしてみて納得いかない場合には返却する。いい山葵が入らなかった時のために、特別いいものをおろし、冷凍しておくのだという。おろさずに冷凍するとダメになる山葵だが、おろして冷凍する分には味が落ちることはないのだとか。
「本当にいい山葵は、おろしたばかりと冷凍したもの、食べ比べてもどちらか判らないくらい、変わらないんです」
自信たっぷりに言う店主に、これぞこだわりと思わず顔がほころんだ。
蕎麦にこだわり、山葵は必要ないと思いつつも、山葵にもさらにこだわっている。美味いはずだよ、やつこま蕎麦。
ちらりと見ると、夫もやはり顔をほころばせていた。

夫は大盛りせいろ。わたしは天せいろ。天麩羅は半分こしました。
この平打ちの蕎麦が、何とも味わい深いんです。
余った山葵は、もちろんいただいて帰りました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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