はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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右手くん、frozen heart について考える

「凍った冬が来る前に、きみの肩は溶けそうだね」
「ありがとう。今日で4回目の注射だったけど、本当に楽になったよ」
「きみの状態、五十肩を英語で frozen shoulder って言うって聞いた時に、僕が何を考えたと思う?」
「え、何だろう?」「アンデルセンの『雪の女王』なんだ」
「はいはい『雪の女王』ね。少年カイの目と心に刺さった氷の欠片を、少女ゲルダの温かい涙が解かすんだったよね」
「それが、刺さったのは女王の氷じゃなく、町に来た悪魔の鏡の欠片なんだ」
「鏡の?」「そう。そうなんだけどさ、カイの心を凍らせたのは、悪魔でも雪の女王でもないんじゃないかって、常々僕は考えていてさ」
「じゃあ、誰がカイの心を?」「鏡の欠片に映った、カイ自身だよ」
「カイが、自分自身で、自ら心を凍らせてしまったってこと?」
「うん。だから、きみが自分の心を凍らせないように助けたいと思ったんだ」
「そうかぁ。確かに僕、心まで凍りつきそうだった。frozen heart にならずに済んだのは、きみのおかげだったんだね」
「いやいや。きみが、がんばったんだよ、右手くん」
「きみが元気づけてくれて、どれだけ心強かったか。ありがとう、左手くん」

4度目の注射までこぎつけ、ほぼ痛みが引いた右手くんは、ムリをしないようにしつつもリハビリに精を出している。洗濯物も率先して干しているし、薬缶のお湯をポットに注ぐのも最後まで出来るようになった。治るまで長くて2年かかる場合もあると聞いた時には愕然としたが、注射治療を教えてくれた友人だけじゃなく、漢方を分けてくれた友人や義母、経験談を話してくれた友人、重い荷物を運んでくれた家族にも感謝の気持ちが湧き、心は frozen するどころか、ぽかぽか小春日和だ。

凍った心を溶かすのは、難しい。子ども達が幼い頃に、何度も経験したことだが、子どもが言い出したら聞かない状態になった時が、frozen heart 状態に似ていると、わたしは思っている。
小さなことで小さな心は凍る。たとえば、友達の家に迎えに行ったのに「まだ遊びたい。帰りたくない」と駄々をこねる。その時には、そう思っていたのだろうが、説得されるうち時間も経ち、お腹も減り、自分も帰りたいと思っても、心は「帰りたくない」のまま、凍りついてしまっている。子ども自身、困っているのだが、そうなると心の方がなかなか溶けてはくれないのだ。

大人になっても、自分が全く大人らしくなったとは思えない。それを考えると、大人だって子どもの時と同じく、小さなことで心が凍る時だってあるのだと判る。逆に、歳を重ね、様々な経験を積んだ心には、氷の欠片の1つや2つや30個くらいは、もともと刺さっている。その frozen した heart を溶かしてくれるのは、多分、小春日和な友人や家族、そして何よりまずは自分なのだと、右手くんと左手くんと共に日向ぼっこをしつつ考えを巡らせた。

柿をいただく機会が増えました。陽だまりを集めたような色。

びっきーの散歩用の手袋も、一緒に日向ぼっこ。

ドウダンツツジも、小春日和の太陽を浴び、真っ赤に色づきました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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