はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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夢でまで、推理して

夢のなかでまで、推理してしまった。
今読み終えた、湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』(集英社文庫)
一昨日、所用で出かけた立川の駅ナカ『エキュート』の本屋で衝動買い。帰りの特急あずさで半分読んで、ベッドのなかでさらにクライマックスと言えるところまで読み進め、で、夢である。
推理は半分当たり、半分外れていた。しかし、起きている時のわたしよりも鋭く推理しており、寝てた方が頭冴えてるんじゃない? と疑問が湧く。「白ゆき姫なのに、何で林檎出てこないの?」とは、夢のなかでわたし。ストーリー構成にまで口出ししている。まあそれは置いといて、小説は、面白かった。

湊かなえの小説は『告白』(双葉社)しか読んでいない。これが2冊目となる。『告白』は小説では読後感の悪さが、映画では松たか子の綺麗な顔だけが印象に残る、好きとは言えない作品だった。
そして今回も、これ好き! とは絶対に言えない物語。まず、文章が好きじゃない。癇に障るというのだろうか。奥底にある淀んだものを感じる。なのに、読みやすく、面白い。つい引き込まれ、深い闇に落ち、夢中になる。

惨殺された美人社員と、その直後、行方不明になった地味な同僚の女性。その事件を取材していく週刊誌の記者は、会社内部はもちろん、行方不明の同僚の学生時代、子どもの頃までさかのぼり、様々な話を聞いていく。小説は、そのひとりひとりの言い分の羅列形式をとっていて、視点がコロコロ変わるのにも引き込まれるし、話す側が、思い込みの強さや憶測で自信満々しゃべったり、ゴシップやうわさ好きな顔、自意識過剰さが見え隠れする様子なども興味深い。そして最後に当事者の話でいったん幕を閉じ、分厚い関連資料が用意されている。ネットのコミュニティサイトでの会話を雰囲気そのままアイコン入りで、週刊誌では世間をあおる様子や、新聞は切り抜きの形で掲載。ネットや週刊誌報道の恐さを、架空の事件とは思えないようなリアルさで描いている。
「ネット炎上」映画CMのキーワードの一つに、それがあった。「匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理」文庫カバーには、かかれていた。読み終えて感じたのは、人間の醜さ、愚かしさ、悲しさだった。

駅ナカで買ったからといって、電車で読むのに適しているとは限らない。夢中になりすぎて乗り過ごさないよう、注意が必要だ。
絶賛! 映画公開中。エンターテイメント? サスペンス? どっちでもいいけど、伊坂幸太郎作品『ゴールデンスランバー』『ポテチ』などを映画化している中村義洋が監督だわ、綾野剛が出てるわで、やっぱ、観に行くかなぁ。

立川駅ナカの本屋さん。ちょっとお洒落な雰囲気が気に入っています。

展示も凝っていて、今回のテーマは『春のよそおい』でした。
文房具の他、小物もいろいろ置いてあります。

話題の本も、たくさん。にゃんこ本のコーナーもありました。

お隣はカフェ。買っていない本は持ち込めませんが、食事もできて、
お酒も飲める、落ち着ける場所です。会計はもちろんスイカで、ピッ!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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