はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『鹿踊りのはじまり』

「そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあいだから、夕陽は赤くななめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました」
宮沢賢治『鹿踊りのはじまり』冒頭の文章だ。『注文の多い料理店』(新潮社)に収められている。

今、近所で見かけるすすきが、そんな具合に、白く光っている。すすきの花。何故、咲くとは言わないのだろう。そう、今花盛りなのだ。
そして『鹿踊りのはじまり』の語り手は、続ける。
「わたくしが疲れてそこに眠りますと、ざあざあ吹いていた風が、だんだん人の言葉に聞こえ、やがてそれは、今北上の山の方や、野原に行われていた鹿踊りの、ほんとうの精神を語りました」
鹿にと団子を置いたはいいが、手ぬぐいを忘れ戻った嘉十は、すでにやって来ていた鹿達の会話を覗くでもなく聞いてしまう。団子は食べたいが、手ぬぐいが何者か判らず、相談しているのだった。語り手は秋の風からその話を聞く。

すすきの在るところ、いつ不可思議な世界に足を踏み入れても可笑しくない。そんな風が吹いている。わたしも、すすき野原にたたずみ、耳を澄ませてみよう。いったい誰の話が聞けるだろうか。

伸びゆく最中のススキは、ぴんとして元気いっぱいに見えます。
すすきの「すす」は、まっすぐすくすくと「き」は芽が萌え出る萌(き)
からつけられた名だとの説もあるとか。すくすく、すすき ♪

我が町、明野町は、茅が岳のふもとにあります。
「茅」は、かやぶき屋根の材料で「すすき、ちがや、すげ」などのこと。
すすきが広がる地にそびえる山だから『茅が岳』と呼ばれているそうです。
緑の茅が岳には、青い空と白い雲が似合いますね~。

秋の風に揺れるすすき。向こうに誰か、見えますか?

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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