はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『そして、星の輝く夜がくる』

阪神・淡路大震災から、20年が経った。
夫の両親が東灘区で被災し、家は半壊したが、怪我はなかった。
わたしは、当時末娘が生まれて3か月。夜中に起きて授乳させる日々で、神戸に行くこともできず、身近に起こった出来事だとは言えないとは思うが、あの時に感じたショックは、忘れていない。

この日にあわせてという訳ではないが、東日本大震災で被災した小学校を舞台に描かれた真山仁の小説『そして、星の輝く夜がくる』(講談社)を読んだ。
フィクションだが、時間をかけて取材し、現実に起こったことをもとにして、かかれたものだと判る小説だ。6編の連作短編になっていて、テーマを絞って描かれている。

主人公は、阪神・淡路大震災で被災した教師20年目の小野寺徹平。
小野寺は、津波で31人の児童を亡くした東北の小学校に、その年の5月から赴任し、6年生を担任する。
1話目『わがんね新聞』で小野寺は、東北弁で「やってらんねぇ」という意味の「わがんね」と名づけた学級新聞に「やってられへんという怒りだけをかこう」と、提案する。子ども達のがまんしている姿に「ガス抜き」が必要だと思ったのだ。
『ゲンパツが来た!』では、東電社員の子どもと同級生との確執を。
『さくら』では、児童を助けられなかった教師が、マスコミにしつこく追われる姿を。
『小さな親切、大きな……』では、ボランティアとの共存の難しさを。
『忘れないで』では、時と共に薄れていく震災の記憶についてを。
『てんでんこ』では、津波から逃げる人々の姿を卒業制作に選んだ子ども達を描いている。以下本文から。

自然現象というのは凄いものだといつも感心する。
なおも残る瓦礫や荒れ果てた大地を、雪だけで覆い隠してしまう。夜だってそうだ。暗闇は何もかも包み込んでしまう。そして、ぽつぽつと灯り始める明かりがぬくもりを感じさせて、気持ちが和む。
しかし、そんな自然現象でも覆い隠せないものがある。人の心が抱える悲しみや後悔、そして楽しかった日々……。それは不意にフラッシュバックしてくる。忘れようとしても拭えない。前に進もうと一生懸命生きていても突然襲ってくる。

小野寺もまた、神戸で、大切な人々を亡くしていた。
当事者ではないわたしには、判ろうとしても判らないことがある。それを知りつつも、理解していこうという思いは変わらず持ち続けたいと、この本を読みあらためて思った。

夫が買って、お正月に読んでいた本です。
『ハゲタカ』の作者にしては、異例な感じの小説でした。
友人にプレゼントしてもらった、フェルトの手作り人形と一緒に。
昨夜から、神戸に来ています。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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