はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『破門』

「なんや、これ。むちゃ、おもろいやん」
東京生まれ東京育ちのわたしが、えせ関西弁で、言ってしまうほど『破門』(角川書店)は、おもしろかった。黒川博行の直木賞受賞作だ。
何故に関西弁? 週末1泊、夫の実家である神戸に帰省したこともあるが、それとは関係ない。主役二人のぽんぽんとやり取りされる鮮やかな会話のキャッチボールが、どっぷりと関西弁なのだ。以下本文から。

「たいそうな荷物ですね」
「おまえはなんや、そんなリュックサックひとつで足りるんかい」
「これはね、デイパックといいますねん」
「貧乏臭いのう」
「そのシャツ、アロハですか」
「留袖や。仕立て直した」
「いつでも、葬式できますね」
「ばかたれ。留袖は結婚式に着るもんや」
「男は留袖着んでしょ」
「二宮くん、講釈はええからチケットを買うてこいや」
「二人分で三十万。十万足りませんねん」
「高いチケット、とりくさって」
桑原は札入れから十万円を出した「エコノミーはなかったんか」
「当日は無理ですわ」
「ホテルは」
「向こうでとったらええやないですか」
「行きあたりばったりやの」
「おれの流儀ですわ。臨機応変、変幻自在の出たとこ勝負」

ヤクザの桑原と、ヤクザがらみの仕事で食べている二宮は、腐れ縁。二宮は桑原を疫病神と呼び嫌っているが、何故かいつも巻き込まれてしまう。
『破門』では、映画製作の出資金を持ち逃げされた桑原が、二宮と詐欺師を追うが、本家筋の構成員とやりあったことから、組同士のいざこざに発展する。
息つく暇なく楽しめる、エンターテイメント小説だ。
魅力の一つは、二宮のキャラクターにある。よくある設定で、いい人が犯罪に巻き込まれるのとは違い、喧嘩に弱いだけじゃなく、博打を始めたらすっからかんになるまでやめられず、母親への借金も踏み倒したままで、綺麗な女に目がないがフラれてばかり。桑原にくっついているのも金目当て半分だ。お人好しとさえも言えないキャラが新しい。それなのに何処か魅力を感じるのは、生きることに貪欲だからか。
「おまえの粘りは欲と道連れや。おまえは大阪一、欲が深い」
金に貪欲なんは、生きることに貪欲っちゅうことかも知れへんなぁ。

『破門』は『疫病神』シリーズの第五弾。文庫になってる4冊も面白そう。

真っ赤に熟れたザクロが綺麗。印象的な、表紙です。
このところ、夫が正月休み用に買った本を読んでいます。
ネタバレ関係なく、夫婦で本の話ができるのは、楽しいですね。
夫も関西弁率、上がってます。ほんまもんの関西弁です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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