はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『いちばん長い夜に』

乃南アサの小説、マエ持ち女二人組シリーズを読んでいた。全3冊で文庫化しており、短編を重ねていく連作短編集だったこともあり、一話読んではベッドに置いったままにしたり、銀行の待ち時間に開いたりと、のんびり読書に最適なエンタメ小説だと思っていた。前科持ちの女性達のストーリーだということに、現実世界から切り離されたファンタジーのような気楽さを感じていたのかも知れない。『いつか陽のあたる場所で』『すれ違う背中を』の2冊を読み終えても、そういう感覚は変わらなかった。ところが3冊目『いちばん長い夜に』の途中から、思いもよらぬ方向へと物語は進んでいったのだ。

主人公、芭子(はこ)は、綾香の生き別れた息子を探しに仙台を訪れた。まさにその日、東日本大震災が起こったのである。現実世界から切り離されたファンタジーの様相は、一変した。

作者、乃南アサは、綾香の故郷に設定した仙台の街を、日帰り取材にあてたその日に震災を体験している。芭子が体験したことは、そのまま自分が体験したことだと、あとがきにかかれていた。だからこそ、小説もこういうカタチになったのだろう。

罪を犯し、償い、それを背負って生きていく。そんなことは考えたこともなく、気軽に読み始めたシリーズだが、これはファンタジーではないのだと、読み終えて息苦しくなった。殺人を犯した綾香の心の闇を奥深くまで描き切った乃南アサは、もしも震災を交えなかったとしても、そこをぼかすことなく違うカタチでかいたのだろうと読み終えて確信を持った。

「過去のない人はいない」芭子が好きになった、南くんの言葉だ。
「わたしの失敗は、簡単に片づけられるものじゃない」
芭子は返すが、南くんの言葉だけが、心にいつまでもひっかかっていた。

『ボクの町』は、マエ持ち女二人組シリーズに登場する警官が主人公。
芭子に気があるみたいだけど、元気すぎてちょっとずうずうしくも感じられ、
嫌がられていました。今風のドジな若者と裏表紙には、かいてあります。
関係ないけど、紐栞がついてる文庫本っていいな。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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