はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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青春いずこに

 「わたしの青春、見なかった?」
娘が真剣な顔で聞く。高校3年の下の娘。
「きのう、パソコンの前で見たけど」
「ないんだよ」
あっちこっち探し回った様子だ。彼女の真剣さに、かわいそうになってわたしも探す。ベッドの上にも、机の下にもない。
「しょぼーん」
と口に出して言う娘は、とてもかわいく、わたしは彼女が学校に行った後もさらに青春を探した。
 
探し物は、あきらめた頃見つかるもので、彼女の青春は、掃除中、洗面所の洗濯かごの下で見つかった。
「青春発見!」
と、授業中の娘にメールする。
帰りの車の中で青春を見つけた場所を説明すると娘は納得したように言った。
「たぶんブラウスを脱いだ時に、袖の中に入ったんだね。気づかないまま洗濯に出して、重力で落ちたんだ」
「それ以外に推理しようがない完璧なストーリーだね」
わたしは、笑って答える。
青くて丸い娘の青春。
それは、学園祭のテーマ「seisyun」と印字されたゴム製のリストバンドのことだ。
 

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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