はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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娘の特技

23歳の上の娘は、大きな特技を持っている。
それは、様々なことを楽しむ素質だ。楽しむことにかけての情熱の傾け方は、彼女を知ってはいても、いつもながら驚かされる。どうでもいいことなど、人生において何一つないとも言うが、どうでもよさそうなことは、山ほどある。
「どうだって、いいじゃん」と娘が口にすることも多い。
血液型はA型だが、大雑把なところが目立つ性格をしている。
その彼女にとって「どうでもよくないこと」=「楽しむ要素があること」なのだ。常に全力投球。山があるから登るが如く、そこに楽しむべきものがある限り、休む暇なく楽しみ続ける。この姿勢に揺るぎはない。

大学の学園祭でもまた、わたしは驚かされることとなった。英会話サークルで『お化け屋敷』を出すことは知っていた。それに情熱を傾ける姿も「青春よ、のう」と、見守っていた。前日夜中まで、案内板ポスターを印刷しながら「恐い。恐い。眠れない」とひとり恐がっていて、それにも笑ってしまったが、驚いたのは、当日娘が帰って来てからだった。
「ただいまー。お腹空いたぁ」
そう言ったその顔は、白と赤で塗りたくられ、所々ブラックジャックさながらの傷が描かれている。
「その顔で、1時間、運転して帰ってきたの!?」
対向車線で彼女を見かけた人は、災難だったろうにと思いつつ、聞く。
「だって、疲れちゃったんだもん。顔洗う気力、なかった」
全力投球のあとは、全力で脱力。わかりやすい。『お化け屋敷』は大盛況で、恐くて泣く子も出たという。
「すっごい恐かった。お化けやってる時、ひとりでいるのが超恐くて、人が来るとまた恐いんだよー」
何もそこまで恐くしなくても。聞けば、企画も化粧も、娘が考えたという。
「だって『お化け屋敷』が恐くなくっちゃ、面白くないじゃん」
そう言いながら、その顔のまま、わたしが作った味噌ラーメンをすする娘が、わたしは恐かった。

凝った感じの看板。描くのが好きな友達の作品だとか。

右の小さい方の案内用ポスターを印刷していて、恐くなったらしい。
このポスターを、学校中に貼ったようです(笑)
オーストラリアのゾンビウォークで、覚えたという化粧。
その姿が見たい方はこちら→『23歳、旅人いぶき』

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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