はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
[193]  [192]  [186]  [191]  [190]  [189]  [188]  [187]  [182]  [185]  [184

日和見フィット

冷え込んだ朝、車中での娘との会話。
「あれ? フィットの外気温表示、3℃になってる」とわたし。
「嘘だぁ。そんなわけないよ、こんなに寒いのに」と娘。
「だよねー」「おかしいねー」と話して、ふと見ると表示が-3℃に。
「あー、やだなぁ。フィット、あわてて修正した」と娘。
「嘘がバレて誤魔化したね、今の」とわたし。
 
翌日はいきなり-6℃だった。
「うわっ、正直すぎるでしょう」とわたし。
「思いやりが欲しいね」と娘。
「正論を言うやつは嫌われるんだよ」
「せめて-4℃くらいにするのが常識だな」
「あ、-5℃になった」「無言で、しっかり聴いてるし」
朝の寒さに切れて、ふたりフィットに言いたい放題だ。それにしてもフィットの日和見的な反応は、やけに可笑しい。可笑しくて、ふたりで笑う。笑うと体温が上がる気がする。日和見フィットのおかげで、無人駅のホームに立つ娘の周りの気温は1℃くらい上がっているんじゃないかな。たぶん。
 
「だってだって、そういう設定なんだもん!」とか、
「もう! 走るのやめた」とかフィットが思ったかどうかはわからない。
「ごめんなさい。毎日ありがとう」
降りる時に心からの礼を述べたが、凍った黒のフィットは憮然としているように見えた。

玄関の前の駐車場。八ヶ岳は朝焼けに染まっていました。

拍手

share
Template by repe