はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
[197]  [196]  [195]  [194]  [193]  [192]  [186]  [191]  [190]  [189]  [188

サンタは慌ただしい朝に5分だけ顔をのぞかせた

「クリスマスプレゼントは、マフラーにしてね」
今年チェスターコートを新調した夫からのリクエストを受け、ひと月ほど前に、色を合せてマフラーを購入した。そして、一応リボンをかけてもらった包みを夫に渡した。
「あ、これ。マフラー」
しかし夫は、あからさまに抗議の態度を示した。
「クリスマスプレゼントなんだからさ、イブの夜とかでしょ、普通」
だがせっかくコートに合わせて選んだマフラーなのだ。今ここにあるのに、ひと月も待つのはもったいない。
「だって、ここにあるのにクリスマスまで待つの?」
「そりゃそうだよ」
夫は頑なに袋を開けようとしない。もったいないなぁと思いつつ、袋をしまった。しかしそれから一週間後の朝、出掛けに夫が新調したコートに去年のマフラーを巻いてるのを見て、
「絶対、こないだ買ったマフラーの方が合う」わたしは主張した。
「じゃあ、持って来てよ。あと5分で出るよ」
わたしは、大急ぎでリボンをほどき、箱を開け、マフラーのタグをはずし、夫に手渡した。
「メリークリスマス!」
「まだ、クリスマスじゃないけどね」
そう言いつつも、彼も気に入った様子で、コートを買った店の店員に教わったというミラノ巻きをし洗面所の鏡で確認している。
「いいね」と夫。
「いいじゃん。ぴったり!」わたしは、褒めちぎった。
そして夫は慌ただしく出かけて行った。新しいマフラーはとても温かそうに見え、わたしも幸せな気分になった。
イブの夜のプレゼントはなかったが、その慌ただしい朝の5分の間に、たぶんわたし達夫婦にはサンタがやって来たんだろう。ちょっとファンタジックで特別な、そしてごくごく普通でもある朝の5分間だった。

ミラノ巻きと聞いて、カリフォルニアロールを連想するのは、わたしだけ?
サンタがサーフィーンする国にいる娘はどんなクリスマスを迎えたかな。

拍手

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
Template by repe