はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『サブマリン』

伊坂幸太郎の新刊『サブマリン』(講談社)を、読んだ。
12年前に『チルドレン』を読んでから、この日を待っていた。続編である。伊坂幸太郎ファンクラブ(在籍2名)の仲間から情報を得て、うきうき発売日だと本屋に買いに行き「明日発売です」と呆れられた(笑)

家庭裁判所の調査官、武藤と、その破天荒な上司、陣内と、犯罪を犯した少年達の物語。武藤は、無免許の19歳の少年がジョギングしていた男性を撥ね死亡させた事件を担当する。ネットで脅迫文をあちこちに送った試験観察中の15歳の少年や、陣内が以前担当していた若者、前作で人気が高かった盲目の永瀬も登場。伊坂作品ならではの、はりめぐらせた伏線をていねいに回収する技も楽しめる。以下本文から。

「おまえ、麻雀知ってるか?」
陣内さんは組んでいた足を伸ばし、まっすぐ座り直す。
「知らなくてもいいけどな、麻雀は四人でやる。でな、俺たちはな、見えない相手にずっと麻雀の勝負をしているようなもんだ。最初に十三枚の牌を配られて、それがどんなに悪くても、そいつで上がりを目指すしかない。運がいい奴はどんどんいい牌が来るだろうし、悪けりゃ、クズみたいなツモばっかりだ。ついてない、だとか、やってられるか、だとか言ってもな、途中でやめるわけにはいかねえんだ。どう考えても高得点にはならない場合もある。けどな、できるかぎり悪くない手を目指すほかないんだよ」
サックスを吹く男の姿が、僕の頭に浮かんだ。彼のはじめの手牌は良くなかったかもしれない。ただ、その中で、できる限り最高の手を作ろうとした。悪くないどころか、素晴らしい上がりに到り着いた。
「何が言いたいんですか」
「一緒に作戦を考えてやるから、俺にもその手を見せてみろ」
陣内さんは言う。
「隠して一人で考えていても限界があるんだよ」

陣内は、12年経っても変わらず少年達のなかへとまっすぐに入っていく、かっこいい大人だった。けどまあ、陣内かっこ悪い語録も一応。
担当でもないのに現場に行ったんですかと、武藤に聞かれて。
「あれかよ、あの交差点はおまえのものなのか。おまえしか行っちゃいけねえのか? 俺が行ったっていいじゃねえか」
通り魔を捕まえたとき、小学生に。
「校庭に俺の銅像を作って、と校長先生に言っておけよ」
酔って眠って、目を覚ました若者に。
「本当に良かった。五年だよ。おまえ、五年寝たきりだったんだぞ」

タイトル『サブマリン』は、水面下に潜んでいる犯罪を見つけるため、
海中に潜っていく潜水艦と、家裁の調査官をダブらせているのかな?

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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