はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ハングリーロードムービー、再び

雨の高速を走っていた。22時。夕飯はまだ食べていない。夫が運転し助手席にはわたし。もうふたりとも疲れ切って食欲も何処かへ行ってしまっている。
「昔よく腹減らして、ふたりで中原街道を走ったよね」と、夫。
「なつかしいね。山梨に越してからもお腹空かせて走ったよね」と、わたし。
ハングリーロードムービー、再びである。何故こうなるのかというと、食べてから長時間運転するのは疲れるし眠くなる。なので、なるべく目的地に近い場所で食べたいし、できれば目的地に着いてからビールが飲みたい。故に走る。

末娘の引っ越しで、夫と埼玉に行った。宅配で頼んだ組み立て式ロフトベッドが時間に届かず、その上その組み立てが想像を絶する大変さで、時間はどんどん過ぎて行った。(鉄パイプでできていて重い上に、狭い部屋での組み立ては難解だった。もう二度と組み立てたくない)
ぶじベッドが完成した時には、20時半を回っていた。
「じゃあな」と、夫。「じゃあな」と真似して、わたし。
「ありがとう」と、娘。
3人とも疲れ切っていて、涙の旅立ちとはならなかった。

「軽井沢のコンビニは、23時までしか開いてない所が多いんだ」
「うそ。いまどき?」「ホテルのバーだって開いてるかどうか」「うーん」
少し遠まわりして軽井沢で一泊し、美味しいものを食べ温泉にでもつかって、のんびり翌日帰ろうという計画は、形を変えていた。軽井沢到着は23時だった。しかし、悪いことばかりではない。
「バーは何時までですか?」と、チェックインするなり夫。
「23時半ラストオーダーで24時までです」と、フロントの女性。
ふたり密かにガッツポーズした。
そして、バーのカウンターに座るなり夫は言った。
「生ビール二つ。それと、何か食べるものありますか? 夕飯食べてなくて」
バーテンダーはにっこり笑って「サンドイッチとソーセージなら」
程なくして、焼き立ての分厚いトーストにローストビーフと野菜をたっぷり挟んだサンドイッチと、熱々の何種類かのソーセージが出てきた。
「温かいものが食べられるって、幸せだよね」と、わたし。
「家に帰ったみたいだよ」と、夫。
(家では生ビールは飲めないけどね)と心のなかで、わたし。
それから日にちが変わるまで、ふたり祝杯を挙げた。娘のこれからに。

カウンターから木立が見える素敵なバーです。
サンドイッチとソーセージは、写真を撮る間もなく食べてしまいました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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