はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ほろ苦い山の春

ご近所さんの奥様が、山菜を持って来てくれた。初めて見る山菜だ。
「タラの芽と匂いが似てるの」と言うので、匂いを嗅いでみると確かに似ている。微かに苦みを感じられる独特の匂いだ。
レシピを聞き、ネットでも検索しようとパソコンを開いた。しかし途端に、聞いたばかりの山菜の名前を忘れた。
「まさか匂いを嗅ぐと、忘れる効果がある山菜だとか?」
彼女は、5回はその名前を言った。はっきりと発音して教えてもくれた。なのに何故。疑惑を抱きつつも、しかたがないのでメールして再び聞いた。
「うこぎ」メールはいい。忘れたら見直せばいいのだから。
混ぜご飯がオススメだそうだ。ネットで見ても、ご飯のレシピがほとんどだった。果敢にも「うこぎペペロンチーノ」に挑戦したご近所さんの奥様も、「やっぱ、混ぜご飯だね」と感想を聞かせてくれた。

米沢で藩主上杉鷹山が、敵の侵入を防ぐため、棘のあるうこぎを食用できる垣根として広めたそうだ。なので現在も、米沢がうこぎ生産地としては日本一だという記述はいくつかのページに載っていた。
だが、茗荷のように忘れっぽくなる効果は探せど探せど見つからなかった。
疑惑を消せぬまま「いやいや、何もかも忘れるのもじつはちょっと素敵かも」などと空想を展開しつつ、うこぎご飯を口に運ぶ。
ほろ苦い山の春が、口の中に広がった。

濃いきれいな緑色。タラの芽と形も似ていますが、小さな柔らかい芽です。
「キイロスズメバチに一時に8か所刺された経験を持ち、
珈琲の焙煎もできる多趣味で日本野鳥の会所属で陶芸家のご近所さん」の、
奥様は彫金作家。山菜にも詳しいおふたりです。

「うさぎのこ」と覚えました。まだ忘れるつもりかい! と突っ込まれそう。
忘れる云々は言わず、娘に出すと「美味しい!」とたくさん食べました。
残念ながらサムは朝寝坊。その間に彼女はすべて食べつくしました。
「これお腹に優しいの?」と娘。「ビタミン豊富だとは思うけど、お腹に?」
「七草粥と似てるじゃん」「いや似てるけど、あれはお粥だからだよ」
「でも似てるからさ、お腹に優しいのかなって」「だからお粥だからだって」
彼女で試したところで、うこぎ物忘れ説は図れないと判明しました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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