はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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足りないものは

「ゆっくり休んでね」とは、よく聞くフレーズだ。
何か大きな仕事を終えた時、風邪で熱を出した時、溜まっている有給休暇を取って海外旅行に出かける時、または夫が出張に出た主婦などに向けられる。
言葉をかける方は「いいね。うらやましいな」とか「休むべき時が来たね、お疲れさま」というニュアンスをにじませつつ、実際にはさしてうらやむこともなく、何も考えず口にする。
それが「百年くらい休んでね」となると「もうきみとは会いたくもなし」ときっぱり意思を持った発言となる。だが「ゆっくり休んでね」と言われると「ゆっくり休めていーね。全くほんとにどーでもいーね」と言われているような気持ちになる。ひねくれて「眠り姫の如く百年眠ったところで、もうその先の未来はないのに」と思ったりする。

わたし、疲れている。ふいに気づく。数字の1のように真っ直ぐだったはずの心が、数字の2になってしまっている。またはメビウスの輪のようにねじくれて、収集が着かなくなっている。
「オオサワアリマサが、足りない」
口を突いて出る。と同時に、泣きそうにもなる。弱音を吐く。
「オオサワアリマサがないと、もうだめだ」
気がつくと、本屋で大沢在昌の新刊『冬芽の人』(新潮社)を買っていた。何も考えずに読み始めた。大沢在昌のハードボイルドは、数字の1だ。人として忘れてはならないものが、真っ直ぐに通っている。読み終わった頃には思えるようになってるかな。「ゆっくり休んでね」って思いやりの言葉だよね、と。

気づいたら、ペパーミント&ローズヒップのハンドクリームと、
メープルのハンド指圧ボールも買っていました。癒し、求めてるのかな。

装丁が素敵。
ピンクのラインが入った薄いカバーの中には、空に大きく伸びた冬枯れの木が、透けて見えます。ストーリーと関係あるのかな。楽しみ!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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