はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『さいごの毛布』

近藤史恵『さいごの毛布』(角川書店)を、読んだ。
小説の舞台は、老犬ホーム「ブランケット」年老いた犬達の世話をし、飼い主の代わりに最期を看取る施設だ。
様々な事情で、飼っていた犬の世話をすることができなくなった人々が、料金を払い、犬達を預けている。

主人公は、「ブランケット」で働き始めることになった智美。彼女は、犬を飼ったこともなければ、特別に興味を持っている訳でもなかった。就職試験にことごとく落ち、ダメもとで面接を受けたのだ。そんな智美は、自分を、こう分析する。以下本文から。

昔から、いつもと違う出来事が苦手だった。はじめから決まっていることならば、それなりにきちんとやることができた。毎日学校へ遅刻をしないように行き、授業を聞いて覚える。出題範囲の決まったテストでいい点を取るのはそれほど難しくない。だが、社会に出てみれば、生きることは体育の授業でやらされたドッジボールのようなものだった。どこからボールが飛んでくるかわからないのに、ボールが当たればやたらに痛い。ようやく受け止めて投げ返したかと思えば、すかさず次のボールが飛んでくる。それらをすべて受け止めて投げ返すことなんて、智美にはとてもできない。

そんな智美だが「ブランケット」の仕事だって、予期せぬことは多かった。智美には、理不尽に思えることも。
お金を払わず、施設の前に犬を捨てていく飼い主。犬との撮影時にだけ、迎えに来る女優。子どもに死ぬところを見せたくないからと老犬を預けていく若い夫婦。それでも犬達は、飼い主を恋しがる。
「ブランケット」のオーナー麻耶子は言う。
「犬は昨日を愛する生き物ね。今日も昨日と一緒であればいいと思ってる」
昨日と一緒の家族、昨日と一緒のごはん、昨日と一緒の散歩。そんなささやかな望みを絶たれた傷を、心のの真ん中に抱える犬達の施設なのだと。

読んでいて、古傷がうずくような気分を味わった。智美に、いつもと違う出来事が苦手だった自分を重ねたのだ。それでも、こうしてなんとか生きている。けっこう楽しくやっている。人間だって、犬だって、苦手なことや、触れられたくない傷を、誰もが持っているのだと、智美が気づいて顔をあげたように。

図書館で、ふと手にとった本です。昨年春に刊行されたもの。
びっきーを、思い出さずにはいられない小説でした。

お久しぶりです。僕が空にのぼって1年と2か月。お元気でしたか?
最近、おかーさんは、ちっとも散歩をしていないようですねぇ。
えっ? 春になったらするって? またそんなこと言って、春は忙しいとか、
夏は暑いとか、秋は何かととか言って、また冬になっちゃうんですよね。
まったくサボることにかけては天才的なんだから。ぶつぶつ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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