はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『旅屋おかえり』

原田マハの小説『旅屋おかえり』(集英社文庫)を、読んだ。

「おかえり」というのは、主人公、丘えりかの愛称だ。旅とご当地グルメの番組「ちょびっ旅」を1本だけ持つ、鳴かず飛ばずのタレントで、32歳にもなって「おかえり、超、気になる!」なんて若い子ぶってもなぁと、自分でも思い始めていた。そこへ来て、まさかの番組打ち切り。旅に出なくなり、彼女は、タレント業よりも、自分は旅が好きなのだと気づく。そこへ依頼が来た。病気の娘の代わりに、旅をして来て欲しいと。
旅って、自分でしてナンボのものなんじゃないの?おかえりは、疑問を胸に抱えつつ、旅に出た。そして、旅屋を始めることになった。以下、本文から。

和紙を作ること、それは、真理子さんにとっては「心の旅」だったに違いない。和紙に向き合うことで、自分の心のなかへ、深く、ゆっくりと旅してきたのだ。愛する人たちに、思い出たちに手を振って、どうにか帰ってきたのだ。ひとりで生きていかなければならない現実へと。
紙の繊維はね、こうして、叩かれて叩かれて、強く、美しくなるんだよ。
作業をしながら、ヤンさんが教えてくれた。すると真理子さんが、微笑みながら言い添えた。まるで人間みたいね。
すんなりとすなおなその言葉が、やけに胸に響いた。

「おかえり」って、あったかい言葉だよなぁとあらためて考えた。そして、そう感じるのは、これまで自分が使ってきたシーンの記憶にあるんだろうなぁ、と。「おかえり」と迎えてもらうより「おかえり」と迎える方が、たぶん遥かに多かった。末娘は、小学生の頃「ただいマンモス―!」と元気に帰って来たものだったと、ふと思い出した。

帯に「感動の物語」とあるだけで引いてしまう、へそ曲がりなわたし。
それでも魅かれたのは「旅」という言葉の魔法かな。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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