はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『嘘吐きゴッホと眼のない少女』

芝居を、観に行った。演劇を中心に活動中の「キレイゴト。」5枚目の演劇『嘘吐きゴッホと眼のない少女』だ。
二十歳の末娘が、団員ではないが、参加させてもらい舞台に立つという。大学のサークル以外では、もちろん初舞台だ。3人の主役達の脇を固めるヒロインの妹、志保子役で、明るく健気な、主役の秀に恋する女子高生を、生き生きと演じていた。

ストーリーは、美大生、秀(しゅう)が双子の兄である響(きょう)を交通事故で亡くすところから始まる。響の車に同乗していた恋人、朱里(あかり)は、響の死を受け入れられず、目隠しをして何も見ずに生活することで心のバランスを保つという治療を受けていた。だが、見えない朱里は見舞いに来た秀を、響だと思い込んでしまう。そして以前から朱里に想いを寄せていた秀は、響の身代わりになることを選んだ。

テーマは「嘘」だ。秀は朱里にだけではなく、相手を傷つけたくなくて、嘘をつく。優しいのだ。自分の気持ちを誤魔化すために、自分にも嘘をつく。弱いのだ。しかしその優しさと弱さは、やがて周囲の人々をも傷つけていく。

演じる彼らは、登場人物達同様に若く、エネルギッシュだった。その若さ故に、やはり登場人物達同様に、悩みも多かろう。そんな風に考えずにはいられないような、混沌という霧のなかに立つ危うさを持っていた。けれど日々様々、悩みつつ生きているであろう彼らの舞台から伝わってくる鼓動に、優しさや弱さで誤魔化そうとする嘘は、ない。それは大人であるわたしの胸の底で静まった水たまりに一滴の危うさを落とし、静かに波紋を広げていったのだ。

参宮橋駅近くのスタジオ「トランスミッション」にて、本日8日まで。
「彼らは、ひりひりと、ひりつくような熱を持って生きている」
総合演出、日向あこさんの「ごあいさつ」にあった一文です。
友人まりりんも、一緒に観てくれました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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