はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『すばらしい日だ金がいる』

末娘と一緒に、劇団アマヤドリの芝居『すばらしい日だ金がいる』を観た。「悪と自由の三部作」の公演を終えたアマヤドリの次なるテーマは「うつ」と「競争」。深刻なテーマを喜劇仕立てにしたものだ。
主人公は、山も奥深い辺境の地で行われる勉強会(うつ患者同士がディスカッションする場)に参加する一人の女性大野まりか。仕事一筋で働きづめだった彼女は、ある日突然失踪し、勉強会が行われる山奥に部屋を借り、住みついてしまう。仕事へのストレスから発病したようにも思えたが、まりかの心の奥には、置き去りにしてしまった聞き分けの良すぎる高校生の娘ゆみとの確執が深く根をはっていた。以下、脚本から勉強会のシーン。

「なんでも言って欲しかったんだよね、大野さんは?」
「そうかもしれません。そうして欲しかったんだと思います」
「それじゃないですか、不満って? ねえ?」
「ああ、なあ。それちゃう?」
「では、大野さんはその不満を、ちゃんとゆみさんに伝えていましたか?」
「いいえ。それはそんなに、強くは言えませんでした」
「どうして?」
「だってそんな・・・。たまになんか、言うこともありましたけど・・・むしろ、私の方が聞く耳を持っていないような状態でしたから」
「全部自分のせいにしてはいけないんです。『過度の個人化』です」
「そうですけど、でも」
「ここはあえて自分のことは棚にあげて。我儘になって言ってみてください」
「ですから・・・。なんでも言って欲しかった」

結婚を控えたゆみ。娘の結婚式に出席しない決意のまりか。ふたりの仲を修復させようと、訪ねて来たまりかの妹達。そこで彼女達の間に入って話を聞こうとする勉強会講師は、カウンセリングによる治療を薦める活動をしつつも、実際自らは抗うつ剤依存の患者なのだった。

まりかの胸にあるのは「母には何を言っても無駄だと、気持ちを伝えるのをやめてしまった娘」に「伝えたいけれど、うまく伝わらないもの」
人は、誰かに何かを伝えようとする思いで生きている。だからもし何を言っても伝わらない時が来たとしても「伝わるかもしれない、という可能性に賭けてもいい」のだと、まりかはディスカッションをするうちに思い至るのだった。

本当の気持ち。正確な気持ち。それを誰かに伝えることなど、もしかしたらできないのかも知れない。それでもみんな、今日も誰かに何かを伝えている。

劇場入口にあったポスターです。9月27日まで。
鎖に繋がれた青い兎と赤い猫の表情が、印象的。

吉祥寺シアターの外観も、目をひきます。
方向音痴のわたしには、親切にも見える判りやすさです。

チケットと脚本とキャストやスタッフなどがかかれた当日用パンフ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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