はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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持てる分だけ

夏糸で、自分用のレッグウォーマーを編んだ。
編み物をしたのは、四か月ぶりになるだろうか。冬の初めに何年かぶりに再開したのだが、二月に義母が心臓弁膜症で手術入院した頃、ぱたりと手につかなくなってしまった。
急に編みたくなって、自己流で気ままに編んでいただけだったので、手につかなくなったとて誰に迷惑をかける訳でもない。そのままやめてしまった。

編みたいと思って始めて、編みたくなくなったとやめた。
この気持ちの変化を自分なりに分析すると、キャパシティーの問題かな、というところで落ち着く。義母を心配する気持ちや、度重なる帰省での身体の疲れ。精神的にも体力的にも、わたしのキャパを超えていたのだろう。
荷物を持ちすぎて歩けなくなったら、どれか捨てるなり置くなりしなくてはならない。わたしはまず、編み物を置いたのだ。自分が持てる分を、意識せずとも知っていたということか。
それでも、持てる以上のものを背負わなくてはならない時期もあったし、これからもあるかも知れない。そんな時期を経て、捨てられる荷物を選別すべきお年頃になってきたのかな、とも思う。

そんなことを思い巡らせていた折り、退院した義母が、見舞ってくれた方々へのお礼状に自筆で一言ずつ添え書きしなくてはならず、それがしんどいしんどいと言っているのを聞いた。
「病後のお礼状に、自筆の添え書きがなくても誰も失礼だとは思いませんよ」
 やんわりとたしなめたのだが、義母は、頑固に言い張る。
「そうは言っても、これまでずっとそうしてきたから」
 それを聞き、つい言ってしまった。
「これまでと同じという訳には、いかないと思いますよ。減らしていくことを覚えていかなくちゃ」
 すると義母は、ハッとしたようにしばらく口をつぐみ、静かに言った。
「ほんとにそうねえ。あなたを負ぶったことはないけれど、負うた子に教わるとはこのことよねえ」

義母がぶじ退院し、戻ってきた編みたいという気持ち。消えてしまわないように、大切にしている。大切に、というのは、ひとまず簡単なモノから編むということ。小さなモノで自分のモノ。編み方に凝らず、手軽なかぎ針編み。編み針をいったん置き、知ったのだ。失くしたくないものなら、きちんと荷物に加えられるようになるまで大きくなり過ぎないよう注意を払っていくべきだと。

紺とうすーい水色を、二本どりで編みました。
長編みと鎖編みを交互に編んでいく、超簡単模様編みです。

フットネイルは明るいブルーにしたので、青系の糸を選びました。
涼しげに見えるけど、足首はちゃんとあったかいんです。
首がつくところは、冷やさない方がいいそうですよ。

スニーカーに合わせて、くしゃっとして履いてもいいですね。
神戸に帰省した際、三宮の高架下で気に入って買った靴です。
スニーカーというと思いだすのは、長嶋茂雄さんのインタビュー。
「スニーカー? なにそれ。へえ、運動靴のことなの?」
何気ないインタビューだけど、新しい言葉なんて知らなくても、
ちっとも恥ずかしくないんだと、ちょっとうれしくなりました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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