はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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娘の靴下

今月から共に暮らし始めた上の娘25歳は、よく左右違う靴下を履いている。
「靴下、違ってるよ」
うっかり屋の彼女のこと。間違えたのだと思い指摘した。
「あ、これ? わざとだよ。お洒落でしょ?」
そう笑いつつも「片方失くしたんだー」とつけ加える。
洗濯していると否が応でも判るのだが、片方になった靴下は、そのワンセットだけではない。黒とピンクを合わせたり、シンプルチェックとにぎやかな柄を合わせたり、彼女なりのこだわりはあるらしい。

靴下くらい、買えばいいのに。そう思いながら、しかし、言うことはしない。
彼女はお金がない訳ではなく、お金を使いたいものを選んでいるだけなのだ。
自分のやりたいことのためには、靴下が左右違っていることくらい、些細なことだと考えている。それを知っていて、言えることは何もない。
洗濯物をたたみながら、考えた。
彼女の靴下達は、とても幸せな生涯を送っているのではないか、と。相方に穴が空いたり、行方不明になったりとの不幸な出来事が起きたその後も、新しいパートナーと出会い「黒くん」「ピンクちゃん」などと呼びあいながら、歩き続けている。娘の足をサポートするという仕事を、こなし続けているのだ。

左右違う靴下を履いてまで、やりたいと思えることが、わたしにはあるだろうか。かつて、風呂のないアパートでひとり暮らしをしていた頃は、食べるものがなくなるとよく、小麦粉を薄く溶いてフライパンで焼いて食べたっけ。そう。彼女と同じような頃が自分にもあったのだと思い出すが、そういう季節は通り過ぎたのだと思わざるを得ない。今はただ、新しいパートナーと暮らす靴下達を応援している。無論、娘もだが。

これは、わたしの靴下達です。こんなふうに組み合わせたら楽しいかな?
えっ? 冒険がない? いやいや、これでも履いて出かける勇気は・・・。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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