はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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そこ此処に覚える小さな達成感

重い腰を上げた。いつまでも、キリギリスのままではいられない。
中1の時、一つ年上の従姉の勉強机に「キリギリスになるな、蟻になれ!」と習字のお手本かと見まがう様な字で貼ってあったのを目にした。たいそう驚いたことを覚えているが、ただただびっくりしただけで「そうか、自分も」とは全く考えなかったわたしだが、目の前に転がっている薪は、彼女のスローガンよりも、効き目があるようだ。
骨折した左手くんも、frozen shoulder(五十肩)を患った右手くんも、すっかり回復し、今はもう元気だ。そろそろ復帰しなくてはと、夫が割った薪を薪小屋に積んだ。延々と続く、単純作業。そして力仕事である。薪は見た目よりも重い。昨日に引き続き、思う。
「地球の重力、知らないうちに変化してるんじゃないの?」
自分の非力さを棚に上げ、またも地球を疑う。

半分ほど作業をして、部屋で休憩中、夫が窓から薪を眺めていた。笑顔である。まるで、幼子が春の日差しのなか駆け回っているのを見て、微笑ましく思わずにはいられないといった顔だ。
「嬉しそうだねぇ。桜見るより、楽しそうな顔してるじゃん」と、わたし。
「いやぁ、たくさん割ったな、と思って。桜と薪は、別だしね」と、夫。
「判った、あれね。編み物してて、時々手を止めて、あーこんなに編み進めたと、嬉しくなるやつとおんなじような感じ?」
「近くなったけど、編み物は作る作業で、薪割りは破壊作業だからな」
「でもさ、薪を作ってるじゃん」「薪は、完成品じゃないし」
「そっか、完成品はストーブのなかで燃える、火だもんね」
そんなことを話し、ふたたび作業する。
「おー、たくさん積んだな」と、薪小屋を見て嬉しくなる、わたし。
その薪を燃やして完成品の火にするのは、乾燥させた2年ほど先。待ち時間の長い作成途中の作品だけど、小さな達成感は、そこ此処にあるものなのだ。

太い丸太を十字に割り、4本の薪を作っている夫。

積んだぁ! がんばったぁ!でも、途中で疲れてやめました(笑)

道路沿いには、まだ割るべき薪がこんなに。空っぽの薪小屋が待っています。

来年使う薪は、北側の軒下で八ヶ岳下ろしに吹かれて、いい感じに乾燥中。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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