はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
[1388]  [1386]  [1385]  [1384]  [1383]  [1382]  [1380]  [1381]  [1377]  [1379]  [1378

エスカレーターに乗るときに

「あれ? どっちやったっけ?」と、わたし。
「わからんように、なってまうなあ」と、夫。
今年に入って義母が体調を崩し、頻繁に神戸に帰省している。
山梨と、会社のある東京、そして神戸を行ったり来たりしているものだから、夫は、もともとの関西弁と二十歳の頃に習得した東京弁とが入り交じり、わたしにも移ったりしている。だが、わからんようになったのは言葉ではない。エスカレーターの話だ。

東京でエスカレーターに乗るときには、左側に立ち、右側は歩く人用に空けるのが常識になっている。それが神戸では逆。右側に立ち、左を開けるのだ。
帰省中は、荷物を入れたキャリーバッグを引くことが多く、反対側に並んでしまうと人の波に乗れずに困ることになる。
その右立ち、左立ち。関西では、阪急電鉄が梅田駅で右立ちを推奨したのがきっかけらしく、右利きの人が多いことから右手の方が手すりが摑みやすいと考えたからだとか。関東では、自動車の左側通行に倣ってのことだそう。なので右側通行の外国では、関西と同じく右立ちが一般的らしい。
もともと歩くものではないエスカレーター。安全のために歩行禁止にした方がいいのではないかと最近言われ始めたが、ラッシュ時に人がはけなかった場合ホームからの転落事故などの危険性が危惧され、解決策は霧のなかだそうだ。

義母の病院に付き添った帰り、JRの駅についたのが、夕方のラッシュ時間になってしまった。エスカレーターを見ると、なんと左右両側を速足で歩く人達の姿があった。杖を突いた義母は、人の波に乗って歩くことはできない。義母に腕を摑んでもらいながら、ゆっくりとエレベーターまで歩く。
「そんなに急いで、何処へ行くのやら」
昔流行った交通標語が、ふと、こぼれた。

東海道新幹線から見えた、いつもとは反対側からの富士山。
悠々としているなあ。人間は、小さいよなあ。

拍手

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
Template by repe