はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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東京を見降ろして

浜松町、世界貿易センタービルの40階、展望室で、友人と待ち合わせた。20代の頃、働いていた会社の同僚である。
「久しぶりに、ランチでも、どう?」とメールすると、すぐに返信があった。
「世界貿易センタービルの展望室の東京タワーが見える席で。お弁当とビール、持って行きます」
メールを見て、思わず「おお!」と声を上げる。想定外のシチュエーションだが、彼女らしくもある。その提案にまかせ、楽しみに出かけることにした。

そこの展望台に上るのは、初めてだった。早めに着き、東京タワーを眩しく眺める。ほどなくして現れた彼女は、2年ぶりくらいだろうか。だが、ちっとも変わっておらず、挨拶もそこそこに「展望台、1周してみた?」と聞く。
まだだと言うと「じゃ、いこう」と、歩き始めた。
「ここ、よく来るんだよね」と言う。のんびりしたり、勉強したりだそうだ。
歩きながら、東京を見降ろすうち、気持ちが解放されていくのを感じる。
「高いところって、いいなぁ」と、ぼんやり考えたりした。

彼女が買って来てくれた寿司やサラダをつまみつつ、缶ビールを飲み、あれこれと喋った。明るくポジティブな彼女だが、もちろん悩みごともある訳で、それはもちろん、こちらも同じことで、たがいに長く生きてきたものだよなぁと、昔を振り返り、笑った。

「新しい年は、いいことばかりだといいな。でも、いいことも悪いことも、同じだけ起こるものなのかな」
彼女のつぶやいた言葉に、きっと、いいことばかり起こると予言してあげたかったが、あいにくとわたしには、そんな能力がある訳でもない。
「8×8 = 64で、はははと笑うのが64%、4×9 = 36で、しくしく泣くのが36%、それが人生だ、とも言うよ」
そう言うと、彼女は「そうか」と、嬉しそうに笑った。

わたし達の周りにも、東京を見降ろしている人達が何人かいた。同じ景色を見ていても、感じる気持ちも、考えていることも、当然、違うのだろう。
そして、見降ろしたその街にも、様々なことを思い、考え、悩み、生きている人々がいるのだろうと、思わずにはいられなかった。

友人が買ってきてくれたお寿司と、サラダと、ビール2缶ずつ!

東京タワーが、こんなに近くに見えるってだけで、うん。嬉しい。

スカイツリーも、ビルの合間に、小さく見えていました。

東京が夕焼けに染まり陽が暮れるまで、おしゃべりに花を咲かせました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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