はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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新米を、鍋で炊く

「わたしは、プロだよ」
上の娘の言葉を、ふうんと聞き流す。わたしだってプロだ。
何が? 鍋でご飯を炊くことについてである。
娘は、1年間のオーストラリアワーキングホリデーで、炊飯器を使わずにご飯を炊く技術を習得したらしい。だがわたしだって彼女の年頃には、炊飯器を買うのを節約のため断念し、毎日米を鍋で炊いていた。年季が違うよと言いたい。それでも、鍋で炊いた米の美味さを知るきっかけが、ひとり暮らし&節約だったということに、彼女にもわたしにも変わりはない。

毎日念入りに化粧し、ひらひらした服ばかり着ていた娘が、1年のワーホリを終え帰ってきた時には驚いた。拾ったというツナギに、ボロボロのシャツ。髪はロングだったが、美容室に行かなかったせいだという。
「だってせっかくオーストラリアに行ったんだから、服買うより、旅行とかもしたかったし、友達と遊びにも行きたかったし」
やりたいことに、優先してお金を使おうというスタイルも、あの頃のわたしと変わらなくなっている。全く違う人になり帰ってきたようで、胸をくすぐられたかのように可笑しくなり、内心くすくす笑った。
その娘は、貸していたワーホリの初期費用を、すぐに満額返済した。飛行機での移動にかかったお金もすべて、向こうで働いて稼いだということだ。服も買わず食べ物も節約し、旅行し、遊び、英会話教室にも通い、シェアハウスをいくつか移り、何かがそぎ落とされ、それ以上に何かがプラスされたのだろう。
「風邪とか、ひかなかったの?」というわたしの問いに、大丈夫と笑う。
「ビョウは気からって言うじゃん」「それ、病(やまい)は気からでしょう」
国語が苦手なのは、相変わらず。天然な性格も、変わってはいなかったが。

久しぶりに鍋で炊いた新米を、夫は絶賛した。何度もおかわりし、たくさん食べた。たった1年半のひとり暮らしだったが、そこで得たものが今生かされている不思議。人生って計り知れない。娘もオーストラリアでの1年で、多くのことを得たのだろうと、炊きたての新米を味わいつつ、考えた。

1年分のお米は、玄関に保存。気温、湿度など一番適しているようです。

一袋30キロを精米するときには、コイン精米機で。

まずは鍋で、と炊きました。瑞々しい!あーん、新米だぁ。

右肩frozen中のわたしに代わり、夫がむいてくれた栗で栗ごはんも。

夫は、おむすびを持って、出勤しました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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