はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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読後感の悪さを求めて

読み終えて、拍子抜けした。
「なんだよー。読後感、全然悪くないじゃん」
真夜中、ベッドの上で誰にともなく文句を言う。
完全にやられた。帯の文句に魅かれ買った新刊だ。
最近、書店員さんの推薦文を帯や広告に使われることが多くなった。
『本屋大賞』が、全国の書店員が一番売りたい本に『賞』と名が付き注目を集めるようになったのが、きっかけか。昭和初期に刊行された『蟹工船』が一書店員のかいたPOPで、平成の世にベストセラーになったのがきっかけか。
兎にも角にも、わたしはその一書店員の推薦文を読み、長岡弘樹の『教場』(小学館)を購入した。
帯には6人の書店員さんの推薦文がかかれていた。そのトップがこれだった。
「こんな爽快な読後の悪さは初めてだ!」
その言葉に魅かれ、読み進めていた。
「悔しい! マジ読後感、いいじゃん! 期待してたのにぃ」
しかし文句を言えないことも判っている。何しろこれは、たった一人の意見なのだから。

『教場』は、文句なく面白かった。警察学校の日々を、6人の視点で描いている。人間ドラマとしても、推理小説としても読める面白さがある。

「あと二か月半、我慢できるか。それとも、もう辞めたくなったか」
「いいえ」ゆっくりと首を振った。「二度は落ちません」
「落ちない? 何からだ」「篩(ふるい)からです」

教官と、4話目の視点、もとボクサーで妻子持ちの日下部との会話だ。小説全体に一貫して流れる空気は、警察学校の理不尽とも言える厳しさだった。
読後感の悪さは、わたしには味わえなかった。
だが、帯に騙されてよかったと思える小説だ。残念ながら、個人的な感想を言えば読後感はいい。それでも読もうと思う方は、ぜひどうぞ。

帯の文章を読むのも、本の楽しみの一つですよね。
好みでいえば、シンプルなコピーの帯に、魅かれます。

青山七恵『わたしの彼氏』は、装丁の可愛さにジャケ買いしました。
カバーを外すと鮮やかなグリーン。空っぽの鳥かごと鳥が、またいい!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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