はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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まだ死ぬ訳にはいかない

蜂が家の中に入ってきた。いつ? 何故? とパニックになる。パニックになりつつ、わたしが真っ先にしたことと言えば指輪を外したこと。薬指を刺され結婚指輪を切断したことがあるのだ。「人間信頼と学習が大事」と伊坂幸太郎も小説の脇役に言わせている。蜂とは信頼関係を持てるほどの仲ではないので、とりあえず学習したことを活かそうと考えた。そして指輪を外すと不思議と気持ちが落ち着き、蜂に交渉しようという余裕が生まれた。
出て行ってくださいとお願いし、窓を全開にする。が、当然そう簡単には応じてもらえない。蜂の方も天井付近を飛び回り、ここは何処? と戸惑っている様子だ。「だからー、窓はこっちだってば」と示そうにも、攻撃を仕掛けると勘違いされるのも嫌だ。仕方なく「ハチアブマグナムジェット」を構え天井にとまるのを待つこと5分。「ごめんなさい」と謝りつつ、ジェットを噴射した。天井から床に落ちた蜂にとどめの噴射をし苦しむ様子を観察。1分ほどで動かなくなった。
「別に殺したい訳じゃなかったんだよ」と言い訳するも誰も聞いていない。しかし仲間が窓から見ているかもしれない。気づかれないよう静かにティシュにくるんでゴミ袋に入れた。
 
綾辻行人の『Another』(角川書店)を読み始めたばかりだ。図書館で借りた本には「ホラーに推理を交えた新境地」という新聞記事が貼ってある。ミステリーは好きだが恐がりだということもありホラーはほとんど読まない。それがこの本を手に取った瞬間、ムラムラと血なまぐさい話が読みたくなり借りてしまった。田舎の中学校3年3組に伝わる呪い。転校してきた主人公恒一は、それについて何も知らない。不審な死を遂げていくクラスメイトとその家族。影のある少女、鳴(めい)。恒一は少しずつ真実に近づいていく。
 
この本を読むわたしがここで不審な死を遂げてしまったら、新しい呪いを生みそうだなと思いつつ、蜂に立ち向かった。まだ死ぬ訳にはいかない。せめてページをめくらずにはいられないほど面白いこの本を読み終えるまでは。
天に召された蜂さん 成仏してください
珈琲の焙煎もできる多趣味で日本野鳥の会所属のご近所さんは
蜂に刺された経験も豊富 キイロスズメバチには1度に8ヶ所刺されたそうで
彼の鑑定結果この蜂はキアシナガバチまたはセグロアシナガバチだと判明
スズメバチだと思ったのになぁ

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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