はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『六番目の小夜子』

ずっと読みたいと思いつつ開くことのなかった恩田陸デビュー作『六番目の小夜子』(新潮文庫)を、読んだ。いやー、おもしろかった。
事前情報は何も見ずに読み始め、タイトルと表紙から学園モノのホラーかと思い込んでいたせいか、何処で人が死ぬ? 何処で怖いシーンが? と緊張してもいたのだが、ホラーではなかった。100%ホラーじゃないと言い切る自信はないのだが。

舞台は地方の高校。進学校であるその高校には、奇妙な言い伝えが受け継がれていた。卒業していく「サヨコ」に鍵を渡された生徒が次の「サヨコ」になる、というものだ。「サヨコ」は三年ごとに行動を起こさなくてはならない。ストーリーは、行動を起こすべき「サヨコ」が、六番目の年の物語だ。そこへ、沙世子という名の美しく謎めいた転校生がやってきた。

読み終えて感じたのは、学校という場所の不思議さだった。以下本文から。

溢れる学生服とセーラー服に、雅子は圧倒されそうになる。
黒と紺の塊が、くっつき、離れ、思い思いのエネルギーを放射している。それでいて、塊全体が一つの意思を持ち、うごめいているかのようだ。学校というのは、なんて変なところなのだろう。同じ歳の男の子と女の子がこんなにたくさん集まって、あの狭く四角い部屋にずらりと机を並べているなんて。なんと特異で、なんと優遇された、そしてなんと閉じられた空間なのだろう。

学校という入れ物のなかには、そこを通り過ぎていく生徒達だからこそ生まれる一体感があり、小説はその閉鎖された場所での一体感が起こす不思議を描いていた。この小説を読み、学校の怪談などが生まれるのも、やはりその「閉鎖された場所での一体感」から来るのではないかと、腑に落ちた。

読後、様々なレビューを読むと、張りめぐらされた伏線が回収されていない、最後までよく判らないとの意見が多く見られた。だが、わたしは学校という場所が起こす不思議を垣間見ることができ、満ち足りた気分で本を閉じたのだ。

赤に、無表情なセーラー服の女生徒が印象的な表紙です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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