はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『ホテルカクタス』

江國香織の『ホテルカクタス』(集英社文庫)を再読していて、最近似たようなことがあったというシーンに出くわした。
古びたアパート『ホテルカクタス』に住むきゅうりと数字の2と帽子、三人の友情の物語。そのなかの『ある日曜日の発見』という話で、きゅうりと数字の2は、雑貨屋でばったり会い、たがいに驚く。普段親しくしている友人の姿が、外で見るとまるで違って見えたのだ。

きゅうりには、数字の2がこんなふうに見えた。
「日曜だっていうのにワイシャツとズボンなんか着ちゃって、新聞なんか買って、おまけにその新聞の買い方がきどっていて、つまりこう片手でさ、小銭を渡すと同時に新聞を受けとっただろう? まるでどっかの嫌味な役場づとめ野郎みたいに見えたから、あやうくきみだとわからないところだったよ」
そして、数字の2には、きゅうりがこんなぐあいに。
「いかにも筋肉自慢って感じで、これみよがしのランニングシャツがね、なんていうか、ちんぴらっぽかった。アパートから雑貨屋までは歩いて五分もかからないのに、わざわざサングラスを頭にのっけてるしさ、どっかの、しゃれのめした不良かと思っちゃたよ」

最近、末娘ともそうだが、夫とも外で待ち合わせることが多い。先日も都内の駅で待ち合わせていて、向こうから歩いてくる夫が見えた。すぐに判ったのだが、あれ? こんな雰囲気だったっけ。と首をかしげていると、夫も言った。「不思議な格好してるね。誰かと思ったよ」特別新しい服を着ていた訳でもなく、わたしとしてはごく普通の格好だったのだけれど。
行き交う人いきれのなか、すべての人がきっと別の顔を持っているのだと思った。外見からだけでは見ることのできない本来の姿を。しかしまた街中を闊歩する夫の姿も、本来の姿なのかも知れないとも思うのだった。

さて。物語の続き。きゅうりと数字の2は、帽子を呼び出す。外で見る帽子がどんな感じなのかを知りたかったのだ。

螺旋階段が美しい表紙です。なかにもカラーの絵がたくさん入っています。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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