はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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赤松の梁を見上げて

27年目に入った。結婚して27回目の記念日を迎えたのだ。
そのうちの13年近くはここで暮らしている訳だから、わたし達の暮らしてきた年数の半分近く、今の暮らしをしてきたことになる。ついこの間、越して来たばかりのような気もするが、時間は止まることなく流れ続けているのだ。
「不思議だ」
リビングの炬燵で、日課となった昼寝をしながら、うとうとと考えた。
隣では夫が高校サッカーの準決勝を観ながら「よしっ!」とか「おっしいなぁ」とか、声を上げている。
目を開けると、吹き抜けの2階の天井と梁が見えた。梁はこの土地に生えていた赤松だ。家を建てる1年前に切り倒し寝かせておいて、地元の大工さんに頼み、大黒柱や梁に使ってもらった。天井を見ながら、家を建てたばかりの頃を思い出した。赤松は1年で乾ききらず、柱や梁になってからも乾燥するたびにひびを入れたりねじれたりして、パキーン、パキーンとよく音を立てた。その音は何か切なく胸に響いたっけ。
隣の林では空に向かって伸びている赤松が、八ヶ岳から吹き降ろしてくる北風に揺れ、キー、キーと鳴いている。その音を家の中の赤松達は、何を思い聞いているのだろうか。今はもう柱も梁も鳴くことはない。時間はやはり、止まることなく音もなく流れ続けているのだ。

布を飾っている梁と、それにクロスしている梁が赤松です。
1階の天井は厚い赤松の一枚板で2階の娘達の部屋の床になっています。
吹き抜けの上には2つサーキュレーターを付けました。
2階に上がった暖気をリビングに下ろすためにものです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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