はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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方向音痴もいいもんさ

甘やかして育てても、厳しい態度を持ってしても、子どもを育てるのはたいへんなことだ。甘やかして育てた末娘は、わたしに叱られた記憶というものがないと言う。しかし彼女はよく泣いた。どうして泣いているのか、何が気に入らないのか、全く見当がつかず、途方に暮れることもよくあった。
「どうして泣くの? いい加減に泣き止みなさい!」
そう怒鳴りつけたい衝動に駆られたことも、何度もある。
だが、宣言してしまった。
「この子は、甘やかして育てます!」
それもあってか、わたしは自然と逆へと向かう技を会得していった。

怒鳴りつけたい衝動やパワーを、逆方向に転換するのだ。そういう時、いつも一つ大きく息をついてから、彼女を抱きしめた。
「いい子だね。いい子だね。いいんだよ。泣いてもいいんだよ」
できる限り優しい声でささやき、できる限りの時間抱きしめていた。そうすることで自分も静まった。それで娘が泣き止んだかどうかは、忘れてしまった。そんなに簡単に泣き止むものなら、母親は苦労しないだろう。
だが、怒鳴りつけても、抱きしめても、わたしが娘にぶつけるパワーに変わりはなかったように思う。だったら抱きしめようと決めた。理由もわからず、ただ泣く子を怒鳴りつけたところで、何一ついいことはないのだ。
その逆さ技のおかげで、ずいぶんと気持ちが楽になり、ようやく3人の子どもを育てる母親らしく、子ども達と付き合えるようになった気がする。
正反対の方向へ向かうことは、悪いことばかりではない。道に迷う度わたしは思うのだ。「方向音痴も、いいもんいいさ」と。

以前、夫と旅したヴェネツィアで見つけた道標。
「どっちへ行こうがいずれはサン・マルコ広場とリアルト橋にでますよ」
それはそうと、昨日も新宿で反対方向に向かっていたわたし。
健康のためのウォーキングだと思えば「方向音痴もいいもんさ」?

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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