はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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坂の途中

運転中、久しぶりに聴きたくなって、スガシカオを聴いた。
『sugarless』というアルバムだ。そのなかの『坂の途中』という曲がかかったとき、ちょうど坂道を下っていた。
「そのまんまだなあ」
独りごちるが、曲の歌詞では、坂を上っている。
「真逆とも言えるなあ」
ソロドライブでは、独り言が多くなる。
「同じ場所に立っていても、振り向けば、下り坂が上り坂。風景も何もかも、全く違うものになるんだよなあ」
くねくねと長い長い坂道を下りながら、ふと、神話などで「坂の途中、絶対に振り向かない」という約束をさせられる話があったと思い出した。誰かを助けるためにとか、この先の道へ進むためにとか、いろいろなケースがあったように思うが、ラストはたいてい誰もが振り向いてしまう。好奇心や不安や欲や、はたまた愛などが、彼らを振り向かせてしまうのだ。

絶対に振り向いてはいけない坂の途中で、振り返って見た風景は、どんなものだったのだろうか。神話のなかでは 360℃ の視野を相手に与えることが、ただ怖かっただけなのかも知れない、と考えてみる。
少なくともわたしは今、坂の途中で、振り向いて後ろを見渡す自由を持っている。そう考えてから眺めるいつもの坂道は、また少し違って見えた。

帰って来て、見たら、うちの前も坂でした。坂の途中でした。
こちらは、西側に下る坂。右手が、我が家です。

こちらは、東側、赤松林沿いを抜ける上り坂です。
結婚後ずっと、東京でも川崎でも、坂のある町に住んでいました。

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