はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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夜のマドリードで

遅めの夏休みをとって、夫とスペインに、やって来た。
昨年6月に旅して以来、すっかりスペインに魅せられてしまったのだ。今回は、北に行ってみようと、バスク地方とガリシア地方を旅することにした。
スタートは、首都マドリード。行き当たりばったり旅の、始まりである。

マドリードは、特急の拠点となるアトーチャ駅近くのホテルを、選んだ。ホテル到着は夜8時半。なのに、まだ夕方のように明るい。初日は、とりあえず軽くバルで乾杯しようかと、ホテル近くを散策した。駅前なので、ファーストフード的な明るさと気軽さが特徴の店がいくつか並んでいた。
「あ、ここにしよう」夫が、足をとめた店に入った。
「やっぱり」と、彼はうなずく。「外から観ても、一目瞭然だったんだよ。店の人も客も、みんな同じ方向を、無心に見つめているからさ」
サッカー中継だ。夫も、店に入るなり、同じ方向を見つめる彼らに同化した。

わたしはわたしで、その日、ちょっと気をよくしていた。丸暗記そのままだが、タクシーに乗った際「○○ホテルまで行ってください」とのスペイン語が通じ、運転手さんが笑顔を見せてくれたのだ。
その調子で、バルでも注文しようと構えていると、カウンターのなかの店員さんが、椅子を指差し「もひとつ」と言う。ふたりで座るのに、ひとつしかなかった椅子を「もひとつ」持って来て座れと言っているようだ。それはスペイン語なのか? と疑問に思っていると、並べてあるタパスを指差して「タコ」とか「ミミ」(豚の耳)とか言い始めた。わたしは対抗している訳ではもちろんないが混乱し、やたらスペイン語で聞く「これは何? 卵とポテト? じゃ、これ一つください」「ビール、ふたつね」
飛び交う不思議な、日本語とスペイン語。

その時、わーっと歓声が上がった。マドリードの選手が、惜しいところでゴールを外したらしい。
「惜しいなぁ」と、夫。
他の客も、口々に何か言ったり、大きくため息をついたり、思わず立ち上がったりしている。その瞬間、スペイン語も英語も日本語も、関係なかった。ため息の方向性も、表情さえ似通っている彼らに、言葉はいらないのだ。
サッカー中継ではなく、言葉を使わず通じ合う彼らを観つつ、日本語をしゃべる店員さんを前に、よく冷えた生ビールと、マドリードの夜を味わった。

『エル・ブリジャンテ』アトーチャ駅から徒歩30秒。

ポテトサラダは、ローストパプリカと、刻んだオリーブが効いていました。
『エンサラダ・ルサ』スタンダードなポテトサラダです。

夫が注文した『クロケタス』チーズと生ハム入りのコロッケです。

レアル・マドリードではなく、アトレティコ・マドリードの試合でした。
右手前が、夫。途中で店を出ましたが、翌朝のニュースで勝利を知りました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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