はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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「地の果て」フィステーラ

サンティアゴの名がつくこの街は、キリスト教3大聖地のひとつだ。
9世紀初頭に、聖ヤコブの墓が見つかって以来、巡礼者が目指す聖地となった。スペイン北部を横断する800㎞の道を歩く、巡礼の旅、終着点が、サンティアゴ・デ・コンポステーラのカテドラルなのだ。
カテドラル前の広場では、旅を終え、放心したように身体を横たえる旅人達の姿も見られた。
「どうして、歩くんだろう?」
800㎞もの徒歩での旅。わたしには、想像もつかない。
「何かを、探しているんだろうな」と、夫は言う。
その旅人が、さらにその先90㎞を歩き、目指す場所がある。
「地の果て」を意味する町の名はフィステーラ。大西洋が見渡せる灯台まで行き、巡礼の旅で履いた靴や衣類を燃やし、海に流したという。

そのフィステーラに、ふたり向かった。
レンタカーを借りて海沿いを走ろうと、ふたりで海外免許を取得してあった。
ところが、車はマニュアル。わたしはオートマしか運転できない。夫も左ハンドルでのマニュアルは初めてで、緊張した面持ち。頼りのスマホナビも気分屋で、英語になったり日本語になったりする。音声は当てにはならず、わたしが伝えるしかない。方向音痴の自分にナビができるのかと不安を抱えながらも、目的地を登録したスマホを助手席でしっかりと持ち、車は走り出したのだ。
「あ、もうすぐ小さい分岐」
なんとか街を脱出し、緑広がる郊外の一本道に出るが、所々に小さなロータリーのようになっている分岐がある。その度に「小さい分岐」と言っていたのだが、そのうち面倒になり、それを「ペケーニョ」と名づけた。スペイン語で小さいという意味だ。
「次のペケーニョを、右ね」
ペケーニョという言葉に、ハンドルを握る夫は、緊張が解けたように笑う。
「ほい、ペケーニョ、右。あってる?」「うん。だいじょうぶ」
そんな風に走って1時間半。何度か道を間違え、最後にはスマホナビがお手上げとなりスーパーで道を尋ね、ようやくフィステーラの灯台にたどり着いた。

「大西洋まで、来ちゃったね」「うん。着いたねぇ」
ふたり、それしか言葉が出なかった。
何故か『遠くへいきたい』という歌を、思い出した。遠くへ来たなぁと、空っぽになった頭で、ただ、それだけを思った。
 
フィステーラの灯台。着いた時には、降っていた雨もやみました。

記念スタンプは、石の上に無造作に置かれて。

灯台の先の海辺には、靴のオブジェがありました。

「ああ、大西洋!」曇天でしたが、訳もなく感動しました。

下を見て、また、打ち寄せる波の強さと大らかさを感じました。
 
ありがとう! 赤のプジョーと、導いてくれたカミーノ(道)達。
巡礼の道は『el camino』と呼ばれています。『道』という言葉ですが、
ここでは、道すなわち巡礼の道を表しています。photo by my husband

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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