はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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夫が打った蕎麦

夫は、気が向くと蕎麦を打つ。
何処にも出かけずに、のんびり過ごした3連休のなか日。
「昼は、蕎麦にしようか」と言い、用意を始めた。
「いいね。葱もわさびもあるよ」わたしも、浮き浮きと返す。
ステンレスの直径40cmのボールに入れた蕎麦粉に、慎重に水を入れつつこねていく。蕎麦粉は、秋に収穫したという新蕎麦をネットで買ったものだ。米松(べいまつ)の丸太を半分に切って合わせた6人掛けの大きなテーブルに板を敷き、こねた蕎麦を伸ばす。こういう時、大きなテーブルはいい。蕎麦も、のびのびと何処までも平らに伸びていく。
「そろそろ、準備して」
夫から声がかかるのは、伸ばした蕎麦を切り始める頃だ。大鍋に湯を沸かし、葱を切り、麺つゆを作り、こまごまとしたものをテーブルに用意する。
1時間と待たずに、蕎麦は出来上がった。
「つやつやだね!」と、わたし。「今日のは美味いよ」と、夫。
「美味しい!」「茹で加減もばっちりだ」「最高の出来じゃん?」
夫が言うに、最近、湯の中で踊る蕎麦の表情が見えてきたらしい。手打ちの蕎麦は、切り方によってまたは伸ばした厚さによって、太さがまちまちになる。茹で時間も太さによって変えなくてはならない。1分か。1分10秒か。それだけで味も、歯ごたえも変わってくる。それを目で見て、今だという蕎麦の表情が見えてきたというのだ。確かに茹で加減にバラつきはなく、8回ほど茹でたどの蕎麦も美味かった。
繰り返しは感覚を育てる。50歳を過ぎたわたし達だが、その感覚はまだ育っているのだ。何故か、中学時代にテニス部で苦手なサーブ練習を繰り返したことを思い出した。あの頃は、下手くそでも練習だけは人一倍する子どもだったなぁと、振り返った。
夫が打ったつやつやの蕎麦を食べ、今の自分を少し反省した。

包丁は重い方がよく、ストンストンと重力で切っていくのがコツだとか。

このつやつや感は、打ち立てならではのものです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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