はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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目的をはっきりさせることで見えてくるもの

東京、千鳥ヶ淵では、七分咲きのツツジが春風に揺れていた。
立ち寄ったのは『暮らしのうつわ、花田』その名の通り器を扱う店だ。1階には茶碗や平皿、小鉢、マグカップやお湯呑みなどが、2階には鍋や大皿など大きめの器が並べられている。
「わ、素敵!」と一目で気に入った幾何学模様のタジン鍋は、小さめにもかかわらず一万七千円。妥当な値段だとは思うが手が出ない。一通り見て歩いたが、ぼんやり眺めるだけに終始し、店を出ようと思った時にふと思い出した。
「そういえば来月、夫が高校時代の友人達を呼び、イタリアン&ワインパーティ(ただの飲み会とも言う)をしたいって言ってたな」
きびすを返し、もう一度店内を歩く。するとさっきまで目立たず大人しくしていた皿達が、一斉にアピールし始めた。
「パーティには大皿が必要ですよ。新調してはいかがですか?」
「取り皿がおしゃれだと、盛り上がりますよ」
「突き出し用の小さめの小鉢が、欲しかったんじゃありませんか?」
手に取った皿はもう、さっきまでとは違うものになっていた。「取り皿用」「カルパッチョ用」「ブルスケッタ用(並べ方まで思い浮かんだ)」など、はっきりした目的を持ってわたしに語りかけてくる。不思議なもので目的がはっきりしたとたん、同じ皿なのに、見えなかったものが見えてきたのだ。
結局、大皿1枚と、取り皿用の皿5枚を選び、迷った挙句購入した。
「新しい料理に、挑戦しようかな」
店を出ると、春の柔らかい風が頬をなでた。

いいなと思っても、値が張って手が出ないものもたくさんありました。

ごつごつ感と淡い色合いの優しさを合わせ持つ『粉引』の大皿。

写真を並べると大きく見えますが、取り皿に丁度いい大きさです。
ほたる窯という窯元さんの作品ですが、模様も蛍を連想させます。
いただきものの栃尾のあぶらげを、小松菜と煮て。



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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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