はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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身近にある毒

じゃが芋は、放っておくとすぐに芽を出す。
その芽に毒があると知ったのは、中学の家庭科の授業だった。印象に残ったのは身近に毒があることと「ソラニン」という毒の名だった。音から「空」を思い浮かべ、さわやかな毒だというイメージを勝手に作り上げた。
その「ソラニン」に大人になって出会ったのは、江國香織の小説『スイートリトルライズ』(幻冬舎)。じゃが芋の芽を育て切り取って料理し、夫と二人、死のうと企む妻。夫婦の物話だ。タイトルは日本語にすると『甘く小さな嘘』

瑠璃子と聡は、結婚して3年。子どもはいない。仲が悪い訳ではない。波風が立っている訳でもない。子どもが欲しい訳でもない。しかし瑠璃子はふとした瞬間、考えずにはいられなくなる。じゃが芋の芽を料理して出したら、夫は食べるだろう。わたしと一緒に。これって無理心中ということになるのだろうかと。そんなことを瑠璃子が考えているなどと、聡は全く知らない。

「このうちには恋が足りないと思うの」聡は一瞬黙り込んでから、
「そんなことないよ」と言った。根拠も説得力もなかった。
「あるわ」瑠璃子が言うと、聡は困った顔をした。

好きな人とふたり、穏やかに暮らしていても、淋しくない訳じゃない。誰かと一緒にいても淋しさを抱えつつ、それでもひとりではいられない。切ない小説だった。ところでじゃが芋は、ソラニンがないと育たないそうだ。人と人との関係も、微かな毒と共生し傷つけたり傷ついたりしつつ、育っていくものかもしれないなぁ。

毒があると知ってはいても、小さな芽には命の息吹きを感じますね。

塩と粒マスタード、マヨネーズのみの味付けで、シンプルポテトサラダ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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