はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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キンドルの民

「あー、キンドルミンになっちゃったの?」
末娘が夫に責めるような声を上げたのは、昨夏のことだった。

一瞬、カタカナ変換をして何の事だか判らなかったのだが、それは「Kindleを使う民」の意味だった。検索してもヒットしないところをみると、彼女の造語なのだろう。こよなく本を愛し、今は大型書店でバイトする大学生の彼女にとって、Kindleで電子書籍を読む、などということは信じられない裏切りのように思えるらしい。彼女の本棚は、新刊と文庫それぞれ作家別五十音順に並べてあるし、本が日焼けしないよう本のためにカーテンを閉めている。食べたり飲んだりしながら本を読むなどもってのほか。ブックオフで高く買い取ってもらえるのもうなずける気の配りようだ。書店のバイトとして優秀であることは間違いない。何しろ、本を扱い慣れている。大きさ別十種類以上あるブックカバーも、レジに本を差し出された瞬間に判るし、すぐに忙しいレジに回されるようになったのだと言っていた。

ところで、そのKindleを夫が購入して、すぐのこと。
「きみにも貸してあげるよ。一冊買ってみたら?」
そう勧められ、近藤史恵の『キアズマ』(新潮社)を買ってみた。既に読んでいる『サクリファイス』(新潮社)など自転車ロードレースを舞台にかかれたミステリーの最新刊で、わくわくしながらポチッとしたのを覚えている。
だがその後、なかなかそれを読むことはできなかった。夫が常に携帯しているため、Kindleはわたしの手もとに落ち着いてくれないのだ。読んでいる途中で持っていかれるかと思うと、読み始めるのも気が進まない。そうこうしているうちに新しい年になってしまった。
それを考えると、やっぱり本はいいよなあと思ってしまう。そこにちゃんとある、ってことだけで落ち着く。

しかし、遅めの新年の挨拶にと出かけた夫の実家がある神戸への道のりで、ようやくKindleを開き『キアズマ』を読み始めた。これが、読みやすい。文字は老眼の目にちょうどいい大きさに調整できるし、片手で持っていても、勝手に閉じたりしない。ワンタッチでページをめくることができる。一度閉じても、開けばまたそのページ。栞だって幾枚でも挟める。
「いいじゃん、Kindle」
だったら自分用のものを購入すればいいって? うーむ。娘も言うところの「キンドル民」になるのはなあ、ともまた思うのだった。

赤いカバーの可愛いやつです。車窓が似合いますね。
塩尻から名古屋へ向かう、特急しなのにて。

開くとこんな感じ。セールやってます(笑)

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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