はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『猫を拾いに』

今年初めての、新刊本を買った。
川上弘美『猫を拾いに』(マガジンハウス)雑誌クウネルに連載していた短編をまとめた短編集だ。短編と呼ぶには、短く、掌編と呼んだ方が、ぴったりくるかもしれない。
帯にかかれた「恋をすると、誰でもちょっぴりずつ不幸になるよ」という言葉に魅かれたのもあり、川上弘美は、自分のなかで新刊を買ってもいいと決めている作家でもあったから、迷うことなくレジに進んだ。
「恋、かぁ。不幸に、なるんだぁ」と、ふふっと笑いつつ。

読み始めて、しばらくしてから、全部で何編あるのかと、目次を数えてみた。21編あった。数えてから、帯の「心ふるえる傑作が21篇」に気づいた。
「中途半端な、数だなぁ」
何故か、落ち着かない気持ちになった。20編なら、半分に割れる。10編読めば、丁度半分読んだと、すぐに判る。
だが、その落ち着かない数がまた、川上弘美らしくも思え、浮き浮きと、1編読んでは本を閉じ、また開いた。
7編目の『トンボ玉』を読み終えて「あ、21が割れる。今、3分の1だ」と、ものすごく落ち着いた気分になった。21編。中途半端じゃないじゃない。その『トンボ玉』のなかに、すっと心に入ってくる一文があった。

どうしても欲しいものは、いつだって、僕の手に入らない。それがでも、僕は決していやではない。あのトンボ玉は、どこに行ってしまったのだろう。

「僕」の場合、それは、亡くした叔母が持っていたトンボ玉であったり、好きになった女であったりする。
「どうしても欲しいものは、いつだって手に入らない」
声に出してつぶやいて、中途半端な数の世界へと、ふたたび入っていく。
ざわざわと落ち着かない気持ちになったり、いきなりすぱっと割り切れたりする、川上弘美の世界へ。

カバーを開くと、こんな絵が。楽しい!

裏にも、また違う絵がありました。『猫を拾いに』は、10編目です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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