はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ひょうげたる織部

辞書で「ひょうげる」を引くと、「おどけた。ひょうきんにふるまう」などと出てくる。耳に新しい言葉だった。
銀座松屋で開催中の『古田織部展』に、行ってきた。その広告にあった言葉である。「新春のひと時、是非ひょうげたる世界をご堪能ください」
織部のその形から「ひしゃげたような」などの曲線を表す言葉かと思えば、そうではなかった。調べればマンガに『へうげもの』という古田織部を描いたものがあるらしい。利休の弟子だった彼が、利休が求めたものとは違う自分らしさを追求するうち「笑い」にたどり着いたとの記述があった。確かに織部は、かしこまった器ではない。おどけている、という表現もありかも知れない。

じつを言うと、これまで「織部」とは、焼き物発祥の地などの名かと勘違いしていたが、茶人、古田織部が好んで使った器を称して「織部」と呼んだのだということさえ初めて知ったのであった。興味の対象はストレートに器に向き、うんちくなどとは縁のないわたしである。

ゆっくりと器を見て回ると、歴史を感じさせるものも多くあったが、新しさが光っているものもあった。そう言えば、織部の形は、最近注目されている「オーガニック・デザイン」に通じるものもある。自然や生き物が持っている美しさからひらめきを得て作るという「オーガニック・デザイン」は、左右上下などのバランスをとることにこだわらないのが特徴だそうだ。
そんなところに魅かれるのかな。人間だって、左右対象にはできていない。心臓は大抵左側にあるし、わたしの目は、左が奥二重で右が二重だ。綺麗な円を描かない織部の魅力に、今なお、人がモノを創りあげていく挑戦を思った。

没後400年だという、古田織部。今ならどんな器を好んで使うのだろうか。

90%くらいかな。来場者は、ほとんど女性でした。
会場内は、人、ひと、ヒト。田舎者には、過酷な展覧会でした。

人いきれに、頭がボーっとなり、すぐ近くの喫茶店に入りました。
グァテマラのストレートを飲んだら、頭すっきり。美味しかった。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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