はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
デジタルでアナログな夜
夫に誘われ、神楽坂『カーヴ・ド・コンマ』に、ワインを飲みに行った。
年初め。仕事始め。経理を担当するわたしも、四谷にある東京本社に挨拶に行き、その夜、今年もぶじ会社が新しい年を迎えられたことに、乾杯したのだ。
夫は、そのフレンチレストランは2度目だという。落ち着いた雰囲気で、ワインに合う料理がとびきり美味しいのだと、教えてくれた。
店内には、ガラス張りのワインセラー兼ワインショップが併設されていて、ボトルで飲みたい場合には、ひんやりとしたそのセラーを歩き、選ぶことができる。もちろん、ソムリエが、アドバイスをしてくれる。わたし達は、ビールとシャンパンで乾杯し白を1杯ずつ飲んでから、赤のボトルを選ぶことにした。
「今夜は、カベルネにしようかな。渋みはあっても、軽めのもので」
夫は、ビール党であるわたしが、赤ワインのなかでもカベルネなら飲みやすいのだと知っている。そして年末年始の胃の疲れもあるから、あまり重くなく。
ソムリエは、4本ほど提示し、夫がそのなかから1本を選んだ。
ソムリエは、籠に斜めに入れたまま、慣れた手つきでコルクを抜いた。
「そうやって、斜めにしたまま、開けるの、初めて観ました」と、わたし。
「こうして斜めにして開けることで、空気が静かにワインに入っていくので、澱も起たないんですよ」
彼は、聞いたことには一つ一つ、丁寧に説明してくれた。派手なパフォーマンスはなく、静かにグラスに注いでくれる。
「どちらかというと開きやすいワインなので、おふたりで味が変わっていくのを楽しみながら、召し上がってください」
「メインの肉を食べる頃に、一番美味しくなっているって寸法ですかね」
夫の言葉に、ソムリエの彼は、笑顔でうなずいた。
そのメインの鹿肉が出されると、彼がやって来て、籠に寝かせたままだったワインを両手で持ち上げ、まるで大切な赤ん坊でもあやすように見つめた。
「何を、しているんですか?」と、夫。わたしも、不思議に思い見ていた。
「いえ。愛情を込めているんです」と、笑いながら、彼は答えた。
「またまたー」「うそでしょう」と、わたし達。
「いえ。うそではありませんが、ここで温度を1℃上げておくと、料理に合わせて美味しくなるんです」
彼は、ここのワインは、船便で運ぶ間もインターネットで常に温度管理ができるようにしているのだと説明してくれた。ワインは温度管理が重要なのだと、そう言いつつ手で温める姿は、とても微笑ましく映った。そしてもちろん、彼が愛情を込めて1℃上げてくれたワインは、格別に美味しくなっていた。
「インターネットで遠隔管理したり、手で温めたり。全く、デジタルなんだか、アナログなんだか」
人間のやることなのだから、どちらと区別することもないのだと笑いつつ、開いて味わいが深くなった赤ワインをふたり、空にした。
綺麗な前菜は、鮪をスモークしたものに、海老やマッシュルームなどが、
飾られています。スモーク臭が丁度よく、ワインにぴったりです。
斜めに寝かせたワインです。くるくる回して飲みました。
ミンチにした鹿肉のパイ包み焼き。柔らかくて癖がありません。
ワインを飲むのを忘れてほおばってしまうほど、美味でした。
付け合せの野菜は、一つ一つ、違う鍋で蒸し焼きにしたそうです。
「お正月のお煮しめみたいだね」と、夫と話しながら味わいました。
デザートもいただきました。ブリオッシュには赤ワインが沁みていました。
さっぱりとして味わい豊かなデザートがいただけるのは、嬉しいことです。
年初め。仕事始め。経理を担当するわたしも、四谷にある東京本社に挨拶に行き、その夜、今年もぶじ会社が新しい年を迎えられたことに、乾杯したのだ。
夫は、そのフレンチレストランは2度目だという。落ち着いた雰囲気で、ワインに合う料理がとびきり美味しいのだと、教えてくれた。
店内には、ガラス張りのワインセラー兼ワインショップが併設されていて、ボトルで飲みたい場合には、ひんやりとしたそのセラーを歩き、選ぶことができる。もちろん、ソムリエが、アドバイスをしてくれる。わたし達は、ビールとシャンパンで乾杯し白を1杯ずつ飲んでから、赤のボトルを選ぶことにした。
「今夜は、カベルネにしようかな。渋みはあっても、軽めのもので」
夫は、ビール党であるわたしが、赤ワインのなかでもカベルネなら飲みやすいのだと知っている。そして年末年始の胃の疲れもあるから、あまり重くなく。
ソムリエは、4本ほど提示し、夫がそのなかから1本を選んだ。
ソムリエは、籠に斜めに入れたまま、慣れた手つきでコルクを抜いた。
「そうやって、斜めにしたまま、開けるの、初めて観ました」と、わたし。
「こうして斜めにして開けることで、空気が静かにワインに入っていくので、澱も起たないんですよ」
彼は、聞いたことには一つ一つ、丁寧に説明してくれた。派手なパフォーマンスはなく、静かにグラスに注いでくれる。
「どちらかというと開きやすいワインなので、おふたりで味が変わっていくのを楽しみながら、召し上がってください」
「メインの肉を食べる頃に、一番美味しくなっているって寸法ですかね」
夫の言葉に、ソムリエの彼は、笑顔でうなずいた。
そのメインの鹿肉が出されると、彼がやって来て、籠に寝かせたままだったワインを両手で持ち上げ、まるで大切な赤ん坊でもあやすように見つめた。
「何を、しているんですか?」と、夫。わたしも、不思議に思い見ていた。
「いえ。愛情を込めているんです」と、笑いながら、彼は答えた。
「またまたー」「うそでしょう」と、わたし達。
「いえ。うそではありませんが、ここで温度を1℃上げておくと、料理に合わせて美味しくなるんです」
彼は、ここのワインは、船便で運ぶ間もインターネットで常に温度管理ができるようにしているのだと説明してくれた。ワインは温度管理が重要なのだと、そう言いつつ手で温める姿は、とても微笑ましく映った。そしてもちろん、彼が愛情を込めて1℃上げてくれたワインは、格別に美味しくなっていた。
「インターネットで遠隔管理したり、手で温めたり。全く、デジタルなんだか、アナログなんだか」
人間のやることなのだから、どちらと区別することもないのだと笑いつつ、開いて味わいが深くなった赤ワインをふたり、空にした。
綺麗な前菜は、鮪をスモークしたものに、海老やマッシュルームなどが、
飾られています。スモーク臭が丁度よく、ワインにぴったりです。
斜めに寝かせたワインです。くるくる回して飲みました。
ミンチにした鹿肉のパイ包み焼き。柔らかくて癖がありません。
ワインを飲むのを忘れてほおばってしまうほど、美味でした。
付け合せの野菜は、一つ一つ、違う鍋で蒸し焼きにしたそうです。
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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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