はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
雰囲気重視?
南アルプスの彼は、その日、南アルプスにはいなかった。
贔屓にしているマッサージ師の彼は南アルプス店店長だが、姉妹店の甲斐市に出張しているという。我が家からは甲斐店の方が近いのでさっそく予約した。
姉妹店なのでポイントカードも両方で使えるが、ふたつの店は全く雰囲気が違う。南アルプス店は、指圧などの施術を行うクリニックの雰囲気。対して甲斐店の方は、リラクゼーションルームであり、アロマ漂う洒落た雰囲気。
彼は最初、甲斐店にいたので、こちらの雰囲気もわかっている。しかし、南アルプス店に慣れ親しんでみると、小さな違和感が芽を出した。
ウェアをいつもの白衣から、甲斐店イメージカラーのブラウンに着替えちょっとスリムに見えるのはいいとして、マッサージ師くんの口数がやけに少ない。いつも昨年末に生まれた赤ちゃんの話や、拾った猫の話などを取りとめもなく話す彼が、しゃべらない。南アルプス店では、他のマッサージ師さんもかなりおしゃべりだ。笑い声が高らかに上がることも茶飯事。照明も、人も明るい。だが甲斐店では、静寂と薄暗い照明が雰囲気作りには、欠かせないらしい。それはそれで、まあいいかな、雰囲気も大切だもんね、確かにさぁと思いつつ、彼に聞いた。
「『ミドリムシ』買っていこうかな」
「すみません。こっちでは扱ってないんです。『ミドリムシ』っていうネーミングが雰囲気に合わないみたいで」
『ミドリムシ』とは、最近流行っている彼おススメのサプリメントだ。
「そこまで雰囲気にこだわるんだ!」「雰囲気重視です」
彼も、多少呆れた感じで申し訳なさそうに言う。
「また行くわ。南アルプス」「来てください」
彼のマッサージは、相変わらず冴えていた。スッキリした肩を軽くまわしつつ、雰囲気重視に走りすぎるのもなんだかなぁと、考えた。
我が家のトイレに飾ってある、ピカソの絵ハガキです。
左はドラ・マール。右はマリー・テレーズ。ピカソが愛した女性達です。
ふたつの店の違いを思い、連想したのがこの二枚の絵でした。
贔屓にしているマッサージ師の彼は南アルプス店店長だが、姉妹店の甲斐市に出張しているという。我が家からは甲斐店の方が近いのでさっそく予約した。
姉妹店なのでポイントカードも両方で使えるが、ふたつの店は全く雰囲気が違う。南アルプス店は、指圧などの施術を行うクリニックの雰囲気。対して甲斐店の方は、リラクゼーションルームであり、アロマ漂う洒落た雰囲気。
彼は最初、甲斐店にいたので、こちらの雰囲気もわかっている。しかし、南アルプス店に慣れ親しんでみると、小さな違和感が芽を出した。
ウェアをいつもの白衣から、甲斐店イメージカラーのブラウンに着替えちょっとスリムに見えるのはいいとして、マッサージ師くんの口数がやけに少ない。いつも昨年末に生まれた赤ちゃんの話や、拾った猫の話などを取りとめもなく話す彼が、しゃべらない。南アルプス店では、他のマッサージ師さんもかなりおしゃべりだ。笑い声が高らかに上がることも茶飯事。照明も、人も明るい。だが甲斐店では、静寂と薄暗い照明が雰囲気作りには、欠かせないらしい。それはそれで、まあいいかな、雰囲気も大切だもんね、確かにさぁと思いつつ、彼に聞いた。
「『ミドリムシ』買っていこうかな」
「すみません。こっちでは扱ってないんです。『ミドリムシ』っていうネーミングが雰囲気に合わないみたいで」
『ミドリムシ』とは、最近流行っている彼おススメのサプリメントだ。
「そこまで雰囲気にこだわるんだ!」「雰囲気重視です」
彼も、多少呆れた感じで申し訳なさそうに言う。
「また行くわ。南アルプス」「来てください」
彼のマッサージは、相変わらず冴えていた。スッキリした肩を軽くまわしつつ、雰囲気重視に走りすぎるのもなんだかなぁと、考えた。
我が家のトイレに飾ってある、ピカソの絵ハガキです。
左はドラ・マール。右はマリー・テレーズ。ピカソが愛した女性達です。
ふたつの店の違いを思い、連想したのがこの二枚の絵でした。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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