はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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甘やかして育てました

末娘が生まれた時に、わたしは宣言した。
「この子は、甘やかして育てます!」
宣言の通り、3人目の子どもである末娘は甘やかされて育った。母であるわたしにも、父である夫にも、7つ離れた兄にも、4つ離れた姉にも。
甘やかされて育った子どもが大抵そうであるように、小学生まではわがまま放題だった娘だが、ある時ふと気づいたようだ。
「自分は、甘やかされ過ぎている。このままではいけない」
娘がそう気づいたと、わたしはすぐに気づいた。そして、それからさらに甘やかすようになった。

高校に入り、彼女が初めてテストで百点を取った時のこと。
「えーっ! 百点!? すごい! すご過ぎる! 実は天才なんじゃないの?」
迎えに行った車中で、褒めちぎるわたし。
「がんばったね! すごいね! コンビニでアイス買う?」
物で釣るのは親としてどうかと思うが、甘やかすことに抵抗がなくなっているわたしには、すでに無関係である。
「もう、なぁんでも買ってあげる。何個でも買ってあげる。コンビニじゅうの物、ぜーんぶ買ってあげる」(ムリだろ!)
娘も、嬉しそうにノッてくる。「うん。ママ、アイス買って」
小学生の時のようにママと呼ぶその声は、子役演じる声優さながらに甘ったるくかん高く可愛らしく演出されたものだ。しかし、彼女はアイス1個以上のものはねだらない。
甘やかす母親と、自分との位置をしっかり見極め、必要以上のものは不要と判断し、そしてしっかりといつもは食べられないハーゲンダッツを選ぶのだ。

大学入学後、夫と共に、初めて娘と食事した。
「何でも好きなもの、食べていいよ」
夫の言葉に、彼女は好物のウニを好きなだけ食べた。これからは大人の付き合いになるのかな、それとも。生ビールを飲みつつ、考えるのだった。

新宿の美味しい日本酒を揃えた『頑固おやじ』で。

娘とよく寄ったコンビニ。国道141号沿いの気持ちのいい場所にあります。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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