はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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東京時間とロクシタン

何年かぶりに、いや、何十年かぶりにぎゅうぎゅうの満員電車に乗った。新橋から赤坂見附に向かう銀座線は、乗る前からものすごい人だった。
「これって、日常の風景なんだよね?」
はるばる異国にやって来たかのように、自分が身を置いている人ごみのなかを俯瞰してしまう。だいたい、わたしにしたら次々と電車が来ること自体が、夢のなかの出来事のようなのだ。乗り遅れても、次の電車に乗ればいいなんて、びっくりだ。山梨では電車に乗り遅れてしまったら、次は1時間後に来ればましな方。東京という場所は、何とも便利にできているのだなあと感心する。
東京生まれ東京育ちのわたしだが、15年以上も住んでいれば田舎の人間になるのだろう。東京時間についていけず、足早に歩く人や満員の電車を、何処か遠くから眺めている気分になってしまうのだった。

先日も、ああ時間の流れ方が違うのだとハッとした出来事があった。
新宿小田急のロクシタンで、どうしても欲しかったルバーブのハンドクリームとリップバームのセットを予約したときのことだ。予約票に名前と電話番号をかきこみ、手続きがすべて終わったあとに店員さんが言った。
「明日発売なので、一週間以内にご来店ください」
「一週間?」
驚いて聞き直してしまった。一週間以内に東京に来る予定はなかった。
「すみません。山梨に住んでいるので、ムリそうです」
感覚の違いに呆然としつつ言うと、店員さんも、驚いた顔をしている。
「では、いつ頃ご来店できそうですか?」
「一か月以内、なら」
遠慮がちに言うと、彼女はすぐに予約票に一か月後の日にちを記入してくれた。その柔軟な対応に感謝しつつも、東京時間に馴染めなくなっている自分を再確認したのだった。どちらがいいとか悪いとかではなく。

昨日、予約したセットを取りに行った。
さっそくハンドクリームを塗ってみると、山梨のなかでも田舎時間の我が家のリビングにルバーブのいい香りが広がった。
 
お洒落な箱に入っていました。試供品のヘアオイルを使うのも楽しみです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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