はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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天井の木目と金縛り

上の娘が、金縛りにあったと言う。
「金縛り、こわいよねー」と、娘。「ただの疲れだと思うよ」と、わたし。
妊娠中にしか金縛りにあったことのないわたしには、やはり身体の疲れから来るもののように思える。まだまだ若い彼女にも、バイトに遊びに忙しかった夏の疲れが出たのだろう。
「ベッドから浮きそうになって、必死で浮かないようにした」と、娘。
「べつに、浮いたって、いいじゃん」と、わたし。
「そう言えばそうだね。べつにいいのに、必死でがんばった」
何故か、がんばってしまうものらしい。
「がんばって声出して、金縛りが解けることはあるよね」
「うん、あるある。人が見えたことある?」と、娘。
わたし的金縛りは、ただ動けず声が出ないと言うものだ。
「わたしもない。見る人もいるらしいよ。見えなくてよかった」と、娘。
確かに金縛り中に、実在しない誰かに、会いたくはない。

「きみが小学生の時に、高熱が続いたことあったよね?」と、わたし。
「あー、覚えてる」「あれは、恐かった」「恐いよねー」
何が恐かったかと言えば、高熱でうなされつつベッドに横たわる娘が天井を仰ぎ見て、言ったのだ。
「あの子、誰?」
思わず天井を見上げたが、誰かがいるわけもなく、わたしは強く娘の手を握り「だいじょうぶだよ」と言うしかなかった。一瞬シューベルトの『魔王』が頭をよぎったが、冷たい冬の夜で窓はしっかりと閉まっていた。娘が連れていかれなくて、本当によかった。
もう、何度も話したことがあるので、彼女にはあたかも自分の体験を記憶しているかのように、思い出すことができるらしい。
「子どもの頃は、夜寝るとき、天井の木目が恐かったなぁ」
娘は、天井を見上げ、懐かしそうに言った。

生きていれば、身動き取れないこともある。にっちもさっちもいかず動かずにいることしか出来なくなる時だってある。動くだけのパワーが出ないことだってある。そんな時には、そこでじっとしていればいい。それでもいつかは、動きたくなるものだ。そして、きっと動けるようになる。右肩はfrozen中だが、自由に動ける今を身体じゅうで感じつつ、娘と共に天井の木目を見上げた。

わたし、美人?

二階の廊下の換気窓と天井。顔、いくつ探せますか?

寝室の梁と天井。丸が二つ並んでいるだけで「目」に見えてしまう不思議。

リビングの天井です。ライトはLEDで、電球色にしています。
この天井と梁は、この土地に生えていた赤松を製材したものです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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