はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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さんま苦いか、しょっぱいか

「週末は、秋刀魚だな」「いいねぇ」
先週から夫と話していた。我が家で「秋刀魚」と言えば、小型のバーベキューセットで焼く炭火焼と決まっている。娘は焼けたら食べに来るので、ウッドデッキで夜風に吹かれ、夫婦ふたりでのバーベキューとなるのが、最近の常だ。

「さんま、さんま、さんま苦いか、しょっぱいか」
どちらからともなしに、秋刀魚を焼きつつ口にするのは、佐藤春夫の詩『秋刀魚の歌』である。結婚して初めてふたりで秋刀魚を食べた時に、それはたぶんキッチンでグリルで焼いたのだと思うが、夫に教わった。友人谷崎潤一郎の妻、千代に恋した佐藤春夫の悲恋の歌だと。
大人の恋のほろ苦さを、秋刀魚に重ねた味わい深い詩だ。その後、佐藤春夫と千代は結ばれることとなったのだが。

何かを食べる度に思い出す詩や、本のワンシーンがある。それを家族で共有するのもまた楽しい。娘が聞いていたかはわからないが、たぶんこれまでにも秋刀魚を食べる度に、何度となく聞いてきたはずだ。いつか子ども達が何処かで秋刀魚を焼く時に思い出し、誰かに話すかも知れない。「さんま苦いか、しょっぱいか」と。

さて。わたしには、秋刀魚を焼くと思い出す、もう一つの詩(歌詞)がある。それは、夜風に気持ち良く吹かれ秋刀魚を焼きながら話すものではないと心得ている。佐藤春夫の大人の恋のほろ苦さとは対極に在りすぎるものだからだ。
♪ お魚食わえたドラ猫 追っかけて 裸足でかけてく 陽気なサザエさん ♪

火の色は写真にすると変わってしまいますが、綺麗な秋刀魚でした。

大根おろしが似合います。胸を張っているかのよう。

御馳走様でした。何もかも綺麗に、いただきました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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