はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
それで、楽しかったの?
夏休みも毎朝娘を駅まで送っている。家でひとり勉強するよりは学校に行く方が集中できるらしい。親から見ても申し分のない受験生だ。わたしには送り迎えくらいしかできることもないので喜んで運転させてもらっている。
そんな朝の車中での会話だ。
「それで、夕べは楽しかったの?」と娘。
うっ、と言葉に詰まった。じつはその前日飲み会で軽く口論になり、しょげていたのだ。
「た、楽しかった、とは?」返事も重くなる。
「いや何ていうか、飲み会から帰ってきたら、いつも絡んでくるじゃない? それがなかったからどうかしたのかと思って」
なんと彼女は心配して聞いてきたのだ。
それも「楽しかった?」と探りを入れるのは親の所作である。いつから君はわたしのお母さんになったのか? そう思いながらもわたしは言葉少なに飲み会での話をし、娘は一言一言誠実に返答し感想を言った。とうとう逆転したと、もう認めざるを得ない。
駅からの帰り道、わたしは車を停め、八ヶ岳に話しかけるしかなかった。
「あんなにちっちゃかったのに」とわたし。
「初めて会った時にはまだ5歳だったね」と八ヶ岳。
「季節は移ろうものだよ」と八ヶ岳の肩に手をかけた入道雲が言う。「田んぼの稲だって日々色を変えてるじゃないか」
「夏も終わるね」八ヶ岳が反対側の空に広がるうろこ雲を眺めた。
朝晩の気温が下がるようになり、くっきりと姿を見せるようになった八ヶ岳
そんな朝の車中での会話だ。
「それで、夕べは楽しかったの?」と娘。
うっ、と言葉に詰まった。じつはその前日飲み会で軽く口論になり、しょげていたのだ。
「た、楽しかった、とは?」返事も重くなる。
「いや何ていうか、飲み会から帰ってきたら、いつも絡んでくるじゃない? それがなかったからどうかしたのかと思って」
なんと彼女は心配して聞いてきたのだ。
それも「楽しかった?」と探りを入れるのは親の所作である。いつから君はわたしのお母さんになったのか? そう思いながらもわたしは言葉少なに飲み会での話をし、娘は一言一言誠実に返答し感想を言った。とうとう逆転したと、もう認めざるを得ない。
駅からの帰り道、わたしは車を停め、八ヶ岳に話しかけるしかなかった。
「あんなにちっちゃかったのに」とわたし。
「初めて会った時にはまだ5歳だったね」と八ヶ岳。
「季節は移ろうものだよ」と八ヶ岳の肩に手をかけた入道雲が言う。「田んぼの稲だって日々色を変えてるじゃないか」
「夏も終わるね」八ヶ岳が反対側の空に広がるうろこ雲を眺めた。
朝晩の気温が下がるようになり、くっきりと姿を見せるようになった八ヶ岳
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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