はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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誰とでもフィフティフィフティで

娘と旅行するのはいい。1泊のみ、それも受験のための旅だったが、おたがい無駄に気を使わないだけではなく、気づかいするツボを1ミリも外すことなく心得ている。一緒にいて心地よく、多少のトラブルがあっても、自然といちばんいい選択肢をアイコンタクトのみで分かり合えたりする。
「穏やかな旅だったね」「人の多さには閉口したけどね」
新宿で日曜のランチタイムに食事をするのは、山梨に慣れてしまったわたし達には難しかった。お腹は減っても目的地まで行くべしと、ふたり顔を見合わせ改札を目指した。一つしか席が空いてなければわたしが座り、荷物を持つ。娘は英単語帳をずっと開いていたが、わたしは鞄に入れた文庫本を読む気にはなれず、ただ重たい思いだけをしていた。しかしその文庫の重ささえもが、必要不可欠だった。その重さがなければ、しっかり立っていられなかっただろうと言い切れるような強風が吹いていたのだ。文庫の重さも含め、無駄なことは何ひとつなかった。

夫と旅行するのも、もちろん楽しい。だが母娘ならではの解放感を味わい、新たな発見をした気分になった。旅に発見は付き物だ。娘との距離を、近くもあり遠くもある距離を嬉しく感じ、彼女が思っているより大人になっていることを強く感じた。
フィフティフィフティ。そんな言葉を思い浮かべた。誰とでも、根っこの根っこのところではフィフティフィフティでありたい。そんなわたしを、彼女の中に見た気がした。そこに限りなく近い場所に、わたし達はいつの間にか来てしまったのだとしみじみ考えた。ひとりよがりかもしれないが、それってものすごく、いい関係になったってことなんじゃないだろうか。

娘のブラウスにアイロンをかけるのも、あと少し。結果はまだわからないが、彼女は大学受験を終え、高校を卒業する。

旅の発見その2 
電気ケトルは、沸騰するまでの時間がびっくりするほど短い!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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