はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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好きな道を行こう

好きな道は、人それぞれ違う。哲学的な話ではない。道路のことだ。
我が家から、韮崎駅まで行くのに使う道は、いく通りもあり、最短の時間で行くための信号が少ない道もあれば、道路の幅がわりと広く走りやすい道もある。少し遠まわりをすれば、車の通りが少ない道を気持ちよく走れるし、途中パン屋に寄ったり、帰りにガソリンスタンドに寄る時には、何も考えずその前を通る道をゆく。

わたしは、ゆっくり幅の広い道を、遠まわりするわけでもなく、ごく普通に走るのが好きだ。だが夫は違う。最短で行ける道を、常に探している。
「こっちの方が、速い」「あっちの方が、速かった」
などと、運転中よく口にする。

この間、ヴァンフォーレの試合を観に行った時にも、駐車場から、スタジアムのどちら側を歩く方が近いか、考えつつ歩いていた。
「やっぱり、行きに歩いた道の方が、近いかな」
帰りに分岐点である横断歩道を歩きつつ、つぶやく。
「でも、向こうの道は、誘導がうるさいからな」
「そうだね」わたしも同意する。
中銀スタジアムの無料駐車場に近い道を歩くと、警備員が、横断歩道がある道に誘導するため、違う場所に車を停めているわたし達は、いつも、叱られるように「こっちの道を行ってください」と言われ「いや、向こうに停めてあるから」と言い訳し、歩かなくてはならない。時間ぎりぎりに行くと、無料駐車場は満車で停められないのだ。
「ちょっとくらい、遠くても気持ちよく歩きたいよね」
距離も大切だが、気持ちよく歩けることも大切だ。
ゲームであれば、わざわざ怪獣が待ち伏せしている道を通り抜けるスリルも楽しいかもしれないが、現実世界で聞かされる小さな文句は、楽しいものではない。道を選ぶときの重要な要素にだって、なり得るのだ。

ところで夫は、最短距離を探して走ることも好きだが、新しい道を探して走るのも大好きだ。
「いつも同じ道を走るのも、面白くないじゃん」
常に行きとは違う道を、帰りには走りたがる。彼は運転中やただ歩く時でさえ、いや、多分何をするにつけ、いつもいつでも面白さを求めているのだ。

いつも、通る道。

急ぐ時に、通る道。

のんびり気分で、通る道。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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